新型コロナの影響で外出自粛に伴い、在宅ワークや休業などで自宅での生活が長くなり、自炊が増え、運動する機会が減った方も多いのではないでしょうか。
そして、
「間食が増えてしまって太ってしまった…」
「階段の上り下りが大変になってきた…」
「運動しなきゃとマラソン始めたら背中や腰・膝が痛い…」
という方も増えているのではないかと思います。
こういったときに増えるのが靭帯損傷やアキレス腱断裂などのケガです。そこで、今回はコロナ禍での影響で考えられるからだの変化についてやどうやって対処していった方が良いのかを解説します。
コロナ禍で実感している人が多いと思いますが、歩く機会が減っていますよね。
厚生労働省の平成30年に行われた「国民健康・栄養調査結果の概要」では以下のようにまとめられています。
歩数の平均値は男性で6,794歩、女性で5,942 歩であり、この10年間でみると、男女ともに有意な増減はみられない。年齢階級別にみると、20~64歳の歩数は男性7,644 歩、女性6,705 歩であり、65歳以上は男性 5,417歩、女性4,759歩である。
厚生労働省 平成30年国民健康・栄養調査結果の概要より
日本人は平均して上記の歩数を歩いていますが、通勤・通学での徒歩や自転車での移動などが無くなっているこのコロナ禍で、運動量を維持できていない人がほとんどだと思われます。
また、動かないことで起こる弊害もあります。動かないことで起こる問題について書かれている文献を読むと
不動・廃用により引き起こされる病態は,筋力低下,関節拘縮,骨粗鬆症,尿路結石,起立性低血圧,心拍数増加,褥瘡,求心神経過敏,持久力低下,肺うっ血,腸管蠕動亢進,認知力低下など多岐に渡る.
園田 茂.不動・廃用症候群.The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine,2015年,52巻,4-5号,p. 265-271
と書かれています。普段からデスクワークで座っている時間が長い方、高齢者の方で家でやることがないから寝ているという方には上記の症状が起きやすいと考えられます。
筋の機能,形態の変化としては,神経筋接合部でのアセチルコリン放出量減少,神経筋接合部やアセチルコリン受容体の形態変化,ジヒドロピリジン受容体(DHPR)のmRNAや蛋白量増加,筋小胞体の機能変
園田 茂.不動・廃用症候群.The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine,2015年,52巻,4-5号,p. 265-271
化,筋細胞内のカルシウムイオン濃度の増加,アクチンのtroponin CやミオシンのH鎖,L鎖などの速筋型への移行,フィラメント間の位置関係の乱れなどが生じる.廃用性萎縮は抗重力筋に起こりやすく,遅筋(type 1)線維に多く見られ,遅筋線維の速筋化もみられる.
とあります。
簡単に説明すると、からだを動かすにあたり、脳から神経を通して筋肉に指令が送られますが、指令の伝達が十分に行われなかったり、筋肉そのものの動きが悪くなったり、筋肉自体の筋持久力が低下して疲労しやすくなるということです。
これらの状態になれば必然的に代謝も落ちるため、糖代謝や脂肪代謝の量が減ることで太りやすくなります。
普段していた「徒歩で通勤」「自転車で通学」「徒歩で買い物」「職場での階段昇降」などが必要最低限の運動にはなっていたわけです。
最近の健康番組でも運動不足について代謝が落ちる・太るなどのことは紹介されているので、「知ってるよ!」という方もいるかも知れません。
そのため、「太ったからダイエットをしなきゃ!」とか「運動不足を解消するために動かなきゃ!」と思って普段やったことのないランニングや縄跳びなどを行っている方もいらっしゃるかと思います。しかし、
走り終わったらなんだか背中や腰が重い…
なんだかだんだん膝が痛くなってきた…
ふくらはぎの張りが取れない…
など、痛みなどの症状が出て逆に辛くなることもあるのではないでしょうか。
筋肉痛だと思ったら1週間以上も同じ痛みや違和感が続いている!という方もいるかも知れません。
元々、通勤や通学、買い物などで徒歩や自転車を利用してある程度の運動量を維持していた人たちにとってジョギングや縄跳びは、運動強度が高すぎる!のです。
運動強度を表すものとしてMETs(メッツ)という指標があります。
厚生労働省のe-ヘルスネットには、
運動強度の単位で、安静時を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示したもの。
メッツとは運動や身体活動の強度の単位です。
安静時(横になったり座って楽にしている状態)を1とした時と比較して何倍のエネルギーを消費するかで活動の強度を示します。歩く・軽い筋トレをする・掃除機をかける・洗車する・子供と遊ぶ(中強度)などは3~3.5メッツ程度、やや速歩・ゴルフ(ラウンド)・通勤で自転車に乗る・階段をゆっくり上るなどは4~4.3メッツ程度、ゆっくりとしたジョギングなどは6メッツ、エアロビクスなどは7.3メッツ、ランニング・クロールで泳ぐ・重い荷物を運搬するなどは8~8.3メッツといったように、様々な活動の強度がすでに明らかになっています。
厚生労働省 e-ヘルスネット
と記載され、e-ヘルスネットのページにて紹介されている国立健康・栄養研究所の栄養・代謝研究部のホームページに「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」として掲載されています。
この単位で今までの通勤・通学に伴う歩行についての運動強度を確認すると

歩行 3.5METs
とされています。
ではジョギングと縄跳びはいくつでしょう。

ジョギング 7.0METs

縄跳び 12.3METs
ジョギングは歩行の約2倍、縄跳びは約4倍になります。運動不足でいきなりジョギングや縄跳びをすることは、筋肉や関節に急激に負担をかける負ことが予想できますよね。膝を痛めたり、足の裏が痛くなったりと怪我が起きやすくなることも想像できるかと思います。
運動会の親子競争でアキレス腱断裂をする人がいるというのが典型的な例です。怪我したら、余計動けなくなるので注意したいところです。
では、どんな運動から始めたらいいかといいますと…
まずは、屋外に出なくてもお家できる、『ストレッチ』や『自重トレーニング』、習ったことある方なら『ヨガ』や『ピラティス』を行うのも良いでしょう。




先程提示した、身体活動のメッツ表ではこれらの体操は歩行の3.5METsに近い運動になり、無理なく始めることができます!
ストレッチや腕立て伏せ・腹筋運動などの自重トレーニングで物足らなくなってきたら、より運動強度の高いジョギングやサイクリングといったしっかり汗をかく運動に切り替えていくと良いかと思います。
体が硬い状態でも運動によって掛かる負担は変わってきます。
今太ってしまっても焦ることはありません。増えた間食は減らしたほうがいいのは事実ですが、いきなり糖質制限を始めても、運動を全くしていない状態では悪影響しかありません。
糖質制限に関しては、また後ほど…
今回は、新型コロナウィルスの影響で考えられる問題をいくつか挙げ、運動強度の指標を紹介しました。ゆっくりとできる簡単な運動から少しずつ運動量を増やしたり負荷を増やしたりして以前の体型を取り戻していきましょう!!
急に運動をはじめて筋肉や関節の痛みでお悩みの方は、自分にどんな運動が適しているのか整体サロンHarmoniaにご相談ください。
お客様に必要なストレッチやどんなトレーニングを行ったほうが関節負担なく筋力をつけることができるのかを姿勢や動作に基づいてご提案しています。

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