妊娠・出産・育児に伴って、肩こりや腰痛、腱鞘炎など身体の不調を感じる女性は多くなります。特に妊娠してから腰痛を感じるようになった、出産後から腰痛を感じるようになった、妊娠前から感じていた腰痛が悪化したなど腰痛を感じているママは非常に多いです。
なぜ妊娠・出産に伴って腰痛を感じる女性が増えるのでしょうか。今回は、妊婦・産後ママに腰痛がなぜ多いのか、原因と腰痛が起きた際の対処法についてお伝えしていきます。
そもそも、なんで妊婦・産後ママには腰痛が起きやすいのでしょうか。妊婦・産後ママそれぞれでの腰痛になる原因をご紹介していきます。
妊娠中は、胎児の成長にともない子宮が大きくなり、お腹の周りにある皮膚や筋肉(腹直筋、内外腹斜筋、腹横筋)、白線と呼ばれる筋膜などが引き伸ばされていきます。

引き伸ばされた腹筋群や骨盤の底から胎児の重みを支えている骨盤底筋群は、お腹が大きくなるとともに本来もっている筋力を発揮できなくなっていきます。その上、胎児を骨盤で支えられる範囲を超えてしまうため、腰が反るストレスを受けやすくなるのです。
妊娠前から運動習慣があり、腹筋群やお尻の筋肉が必要十分ある方は腰痛のリスクが最小限ですが、運動習慣が少ない・細身でもともとの筋力が少ない方の場合、股関節周囲の筋力が弱いために骨盤が前傾しやすく(前に倒れる)、腰にストレスを受ける状態になります。
妊娠してからも働かれている方や、自宅では料理や洗濯などの家事仕事もされている方も多いかと思いますが、腰が反った姿勢のまま、立ち仕事などが続くと腰に負担が積み重なります。結果的に腰の筋肉・背中の筋肉の疲労が限界に達すると、腰痛が起きるのです。
産後の場合は、妊娠時よりも負担がかかる要素があります。妊娠時の皮膚・腹筋群・白線という筋膜が引き伸ばされているダメージは残っており、お腹の筋肉が働きにくい状態であるため上半身を支える負担が背中や腰に集中しやすくなります。

これに加え、普通分娩と帝王切開の出産方法の違いでかかる負担が異なります。
普通分娩の場合は、支えていた骨盤の底にある骨盤底筋群が出産とともに引き伸ばされ、骨盤の底から内臓・体幹を支える筋力が弱くなってしまいます。
腹筋群と骨盤低筋群は本来は姿勢を支える大事な筋肉ですが、どちらの筋肉も引き伸ばされて損傷してしまうことで、身体を支える負担が腰にかかりやすくなり、腰痛となります。
帝王切開の方は、普通分娩よりも骨盤底筋群への損傷は少ないと言われていますが、妊娠時の重みで骨盤底が2.5cm下がるという研究報告もあり、少なからず骨盤底筋への負担はあるようです。
お腹に関しては腹筋群が伸びてしまうだけでなく、切開によってできた傷が痛みを伴うために腹筋群へ力が入れないように身体を使う傾向にあり、結果的に腰への負担が著しく増えます。そのため、腰痛が起こります。
妊娠時・産後の問題を取り上げましたが、実は腰痛が起こるリスクは妊娠前からあります。妊娠前に痛みを感じていなかったとしても日常生活の姿勢において
- 反り腰姿勢
- 横座りをする
- 脚を組んで座る
- ぎっくり腰を経験したことがある
- 椎間板ヘルニアなど腰の疾患の受傷歴がある
など、上記した条件にどれかでも当てはまる人は、腰痛が起こるリスクがあります。どれも腰の筋肉に負担のかかりやすい状態であり、骨盤の歪みのストレスを抱えやすい状態なんです。ですが、痛みが出ていなければ気づけません。
痛みがなぜ出現するのかについて解説してきました。では、腰痛がある場合、どう対処したらいいのでしょうか。
妊婦さんについては、まずは産科の先生と相談することが大切です。妊婦体操や産褥体操など指導されたことを行ったり、産科に理学療法士が配属されている病院やクリニックであれば、その理学療法士さんに相談して教わった運動を行ってみるのも良いでしょう。また、看護師さんや助産師さんが子育て支援センターなどで行っている地域の妊婦体操・産褥体操教室に通ってみるのもいいでしょう。
ヨガやマッサージ、整体等に行きたいと思った際には、主治医の先生に相談していただくと良いかと思います。妊娠時の体の状態は妊娠前の状態と異なります。施術の刺激が早産につながる可能性もあるため、急な出血や腹痛が起こった場合、妊婦さんには一大事となりえるからです。
尚の事、医療系国家資格を持たないマッサージや整体などの利用は、妊娠時に起こる身体の変化を理解していない人もいるため、できる限り医療的なケアの方法を知っているお店を利用したほうが良いでしょう。
産後の場合は、産科の先生や助産師の先生に確認の上、少しずつ運動をしていくことが必要になります。出産直後6〜8週間は産褥期と言われ、妊娠・分娩に適応するために変化した生殖器や生理的機能がほぼ非妊娠時の状態に回復するまでの期間になります。
そして以下のようなことが起こります。
- 全身状態の回復
- 子宮の退縮などの退行変性(生理的復古現象)
- 乳汁分泌に関連した進行性変化
- 弾性力が元の状態の戻る
- 「血液量増体に対する妊娠時の反応」に対する正常化 など
これら復古(体の状態が妊娠前に戻ろうとする)による反応やホルモンによる身体・精神的な反応、育児によってさまざまな変化が母体に起こる時期になるため、体力的・精神的にも疲労がたまりやすくなります。
「妊娠中太ったから痩せなきゃ!」といっていきなりジョギングしたり縄跳びしたりすることは、からだにかかる負担も大きい時期でもあるので禁物です。
人によって、妊娠時に靭帯を緩ませるために増える『リラキシン』というホルモンが無くなるまでに個人差があるため、横座りや椅子に座っているときの脚組みの姿勢にて仙腸関節に負担がかかり骨盤の歪みが生じることも考えられます。

ですので、急激な動作ではなく、日常生活でからだを動かすことからスタートし、お腹周りの筋肉(腹直筋・内外腹斜筋・腹横筋)、骨盤の底の筋肉(骨盤底筋群)の強化が必要になります。
妊産婦のセルフケアの方法をいくつかご紹介します。載せる動画の中には、妊婦体操に含まれるものもあるかと思いますので参考にしてみてください。
※ただし、妊婦の方はお腹が張るなど、普段感じない症状があった場合はすぐに休むようにしてください。無理して続けて症状が悪化しても責任は取れません。
はじめに仰向けで簡単に行える腰痛体操です。お腹の張りや腰痛の悪化を感じる場合は無理に続けないようにしましょう。
続いて、四つ這いで行う背中から腰までの背骨の動きを引き出し、お腹の筋肉や背中・腰の筋肉を刺激する運動です。妊娠中の方はお腹の張りが出るようであれば無理に行わないようにしましょう。
また、骨盤底筋群を鍛える運動として以下のような運動もあります。こちらの体操は、産後ママさん向けですので妊婦さんは無理しないでください。
- 肘付きの四つ這い姿勢になります。
- 「お小水を止める」あるいは「肛門をしめる」力を息が止まらない程度に入れます。
お腹にも引き締める力が同時に出てくるとGOODです! - 力を入れたら5秒〜10秒維持してからゆっくり緩めます。
- この運動を10セット行います。
疲れがひどければ無理せず回数を少なくしましょう。

「お小水を止める」あるいは「肛門をしめる」どちらか力の入りにくさを感じる方を重点的に行いましょう。多くの方が、「お小水を止める」力が弱くなっている方が多いかと思います。目に見える筋肉ではないので、コツコツ継続して使ってあげましょう!
これらの体操は、くれぐれも『無理して行わない!』というのが原則になります。自分の体調を考慮してやれる範囲で行ってください。体操を行って異常を感じた際は、必ず主治医の先生にご相談ください。
妊婦・産後の腰痛の原因と対策についてご紹介しました。腰痛に悩む妊産婦の方々の一助になれば幸いです。
整体サロンHarmoniaでは、産後ボディケアとして育児でがんばるママさんたちの肩こり・腰痛・腱鞘炎などのケアを行っております。産後しばらくしても「腰痛があって生活が大変!」という方は、ぜひご相談ください。
医療系国家資格である理学療法士が、身体への負担が少ないソフトな施術とお家でも行え、お腹への負担が少ないセルフケアの方法をお伝えしています。小さなお子様連れでもスタッフ2名体制で対応しますので安心してご利用ください。
要因を探り、わかりやすく現在のからだの状態を説明させていただき、腰痛が長引いている問題を解決できるよう、施術・ストレッチ指導・自重トレーニング指導など、あなたに合わせたオーダーメイドのアプローチにて不調を整えます。
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