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フルート奏者の【肩こり・肩の痛み】について原因と対処法をご紹介!

 以前のブログで、フルート奏者のパフォーマンス低下につながる身体の不調をご紹介する際に、肩こり・肩の痛みについて簡単に触れました。

フルートの楽器自体の重さは400〜500gとそこまで重たい楽器ではありませんが、ずっと空中で保持した姿勢で楽器を支えていると疲労は蓄積されるため肩に負担がかかります。現に、『フルート 左肩 痛み』『フルート 肩こり』とネット検索されているためお困りの方は多いようです。

今回は、フルート奏者の肩こり・肩の痛みがなぜ起きるのか、原因と対策について解説します。

フルート演奏姿勢の特徴は?

 先に紹介したブログ記事にも記載しておりますが、フルート演奏姿勢は、非日常的な姿勢であるため特徴的な身体の使い方をします。

の3つの特徴について簡単にご紹介します。

演奏姿勢は左右非対称

 フルートの演奏姿勢は、左右非対称の姿勢であり、ほとんどの方がフルートを右方向へ構え演奏されています。(左利き用で演奏される場合は左方向へ構えます。)

フルートと身体との距離が適度な間隔がある状態で持っている状態。
立位でのフルートの演奏姿勢

右腕は楽器を空間で支えるよう開いて構え、左腕は胸の前で楽器を支えるように閉じて構えるため左右の腕で異なる筋肉を使います。首は上半身に対してやや左を向くことが多いため、左の首の筋肉へ負担がかかりやすい姿勢です。

フルートと身体との位置関係の違いで腕にかかる負担が変わる

 唄口を支点として、フルートの構え方によって腕の位置関係が変わります。すると肩や背中などの力の入り方が異なります。例えば、フルート本体を身体に近づけて構えると、左腕は、肩周囲や肘に力が入りやすく、右腕は肘を肩よりも後ろに引くように構えるため肩の後ろ側が力みやすくなります。

フルートのポジションが身体と適切な位置にあると、腕に力みなく支えることができ、肩の負担が少ない
フルートが身体よりも離れている演奏姿勢
解剖学的にみて肩の負担が予測されるフルートの演奏姿勢。身体とフルートの角度が45度よりも小さくなってしまっています。
フルートが身体に近い状態の演奏姿勢

演奏する環境で姿勢の違いがある

 フルートは、演奏する環境で身体の使い方が少々変化します。例えば、

  • 座奏なのか立奏なのかの演奏姿勢の違い
  • ソロで演奏して周りの空間に余裕があるのか、オーケストラなどで座席同士の空間に余裕がないのか

といった演奏姿勢や演奏環境によっても身体の使い方が変わります。

座奏と立奏では、姿勢を支える部分が足とお尻とで異なります。演奏空間の狭さによって譜面台に対する身体の向きが変わったりします。

フルートの座奏の写真です
座奏
フルートの立奏の写真です
立奏

肩こり・肩の痛みはなぜ起こるのか

 フルート奏者の肩こり・肩の痛みが起きやすい原因はいったいなんなのか。解剖学・運動学に基づいて考えられるのは、

  • 空間にフルートを保持する姿勢のまま演奏が続くため、肩・腕の筋肉の疲労が積み重なりやすい
  • フルートと身体との位置関係により肩への負担が増える
  • ブレスにおける努力呼吸の身体の使い方が負担のかかる方法となっている

の3つですが、もともと起こり得る負担を増やすのが普段の姿勢・演奏時の姿勢です。

注意したい普段の姿勢として挙げられるのは、

  1. 巻き肩
  2. 猫背
  3. 反り腰

です。

巻き肩・猫背・反り腰といった姿勢は、良いパフォーマンスを発揮しやすい姿勢であるニュートラルポジションから崩れた姿勢であり、演奏姿勢や演奏動作にて局所の負担を蓄積しやすくなります。

フルートの演奏姿勢では、フルートを含めた腕の重さを上半身で支える必要があるため、肩甲骨を背中の中央へ引き寄せる筋肉(僧帽筋・菱形筋群)や上半身をまっすぐ支える背中の筋肉(脊柱起立筋群)を使用します。

ですが、巻き肩・猫背・反り腰を伴っていると、これらの肩甲骨周囲の筋肉や背中の筋肉が働きにくいまたは過剰に働いてしまう姿勢となってしまい、フルートを含めた腕の重みを支える力を肩・腕の筋肉だけで補わなければならなくなり局所的に筋肉が張りやすくなります。

巻き肩・猫背の場合

 巻き肩や猫背の場合、肩甲骨の動きとして下制・外転・下方回旋の複合的な動きを伴いやすい状態になります。

巻き肩や猫背になると肩甲骨は下制の動きを伴いやすくなります。前鋸筋が硬くなり、肩甲挙筋や僧帽筋上部を伸ばすストレスがかかるようになります。
肩甲骨下制の動き
巻き肩や猫背の場合、肩甲骨が外転の動きが伴いやすくなります。大胸筋が硬くなり、僧帽筋中部・菱形筋群に伸びるストレスがかかり背中が張りやすくなります。
肩甲骨外転の動き
巻き肩や猫背だと肩甲骨が下方回旋を伴いやすくなります。小胸筋や前鋸筋上部線維が硬くなり、肩甲挙筋や僧帽筋上部が張りやすくなります。
肩甲骨下方回旋の動き

すると、大胸筋・小胸筋といった胸の筋肉や前鋸筋という脇の下の筋肉で肩甲骨を安定させるために固くなります。

大胸筋と小胸筋は巻き肩・猫背になると硬くなりやすい筋肉になります。硬くなることで腕の疲労感が強くなったり、背中の張りが出る原因となります。本来は大胸筋の更に下側に小胸筋があります。
大胸筋と小胸筋の図
猫背で硬くなりやすい前鋸筋。上部線維が硬くなると肩関節や上腕に負担がかかりやすくなります。
前鋸筋の図

肩甲骨が下制・外転・下方回旋したまま固定されてしまうと、演奏中のフルートを支える力が、肩関節の周囲に集中し、結果として肩周り(三角筋・棘上筋・棘下筋・小円筋・大円筋)・腕の筋肉(上腕二頭筋)が疲労してしまい、次第に張りから痛みを伴う状態へと変化していきます。

猫背で機能しにくい筋肉(大菱形筋・小菱形筋・肩甲挙筋・僧帽筋)

反り腰の場合

 反り腰の場合、フルートをもった腕を支える上半身を安定させるため、腰回りの筋肉を必要以上に収縮させる傾向にあります。広背筋という腰から肩の前面に付着している大きな筋肉が働きやすくなり、肩甲骨の外転・下制・下方回旋を伴いやすくなります。

広背筋は上腕を腰方向へ引く作用を持っているため、フルートを構える際に肩の前面に対して床方向へ引かれる力が持続的に加わるようになります。肩にかかるストレスに負けないよう腕を支える必要があるため、大胸筋・三角筋・上腕二頭筋といった筋肉が過度に働いて負担となり肩の痛みとして現れます。

巻き肩・猫背も反り腰も、きっかけは異なりますが、姿勢の崩れから肩に負担をかけることがわかるかと思います。

補足

 フルートの演奏姿勢は、前述したフルートと身体との角度によって首・肩・腕への負担が変わります。フルートが身体に近い状態での演奏が続くと右背中の張りや右肩・腕の疲労は強くなります。

 また、口元・左人差し指の付け根・右親指にてフルートを支えるわけですが、リッププレート部分でフルートの支えを強く保とうとすると頭を前に突き出す力が働きやすく、首の張り・痛みとして出る他、猫背の姿勢が誘導されやすくなります。

 さらに、ブレスを強くしようとしたり、ブレスを長い間保とうとするあまり、腹筋がうまく使えず、背中を丸めながら努力的に息を吐く場合も猫背の姿勢が誘導されやすくなります。

肩の痛みできる対策は?

では、肩が痛くならないようにどうしたら良いのか対策を解説します。

大胸筋ストレッチ

巻き肩、猫背の原因となる大胸筋のストレッチです。大胸筋が伸びることで、自然と胸が張りやすくなり、脊柱起立筋群という背筋が使いやすくなります。3パターンありそれぞれで伸びている部分が異なります。

以前、ブログにてストレッチを紹介しているのでこちらの記事をご覧ください。

猫背・巻き肩予防におすすめな大胸筋のストレッチをご紹介します 猫背・巻き肩予防におすすめ!胸の筋肉「大胸筋」のストレッチを解説します!

肩から前に突き出すように行ってしまうと肩の後面で関節内に組織が挟まるインピンジメント症状が起きてしまうため、胸の前側から身体を捻るようにゆっくりと伸ばすといいかと思います。

上半身をねじる柔軟体操

前鋸筋・腹斜筋群という筋肉をストレッチし、僧帽筋・菱形筋という筋肉に刺激を入れる体操です。この体操も巻き肩、猫背の予防に効果的です。

体操の方法を載せたブログページがあるので、そちらのリンクを以下に載せますのでご覧ください。

肩こり・猫背・音楽家の方におすすめな胸郭の柔軟性を高めるストレッチを解説します 肩こり・猫背・音楽家の方におすすめ!胸郭の柔軟性を高めるストレッチを解説!

楽器演奏に限らず、入浴後などに行うと気持ちいいストレッチなのでおすすめです!

前鋸筋・広背筋のストレッチ

反り腰の場合に有効となるストレッチです。
脇の下から、脇腹、腰のあたりにかけて気持ちよくストレッチしてみましょう。

以前ブログにてストレッチを紹介しているページがありますので、それをリンクします。

右前鋸筋・広背筋、左内側ハムストリングスをストレッチしている写真です。 肩こり・腰痛を予防しよう!簡単にできる腰と太もも裏のストレッチをご紹介します

こういったストレッチや体操を準備運動として取り入れてもらうことで、限りなく肩への負担を減らしていくことができます。

まとめ

今回は、フルートの肩こり・肩の痛みの原因について解説してきました。楽器演奏一つとっても姿勢が少し変わるだけで、肩・腕周りの負担は変わります。紹介したストレッチなどでも身体の負担は軽くなりますが、演奏者それぞれで体格・筋力・関節の柔軟性などが異なるため、実際に演奏姿勢・動作を確認して適切なストレッチやトレーニングをする必要があります。

整体サロンHarmoniaでは、演奏されている方の姿勢・動作に基づいて、身体にかかっている負担を探し出して今必要なからだのケアの方法をお伝えしています。

フォーカルジストニアという演奏家の致命傷とも言われる病気がありますが、身体の不調をそのままにして、効率の悪い身体の使い方での演奏を継続していることが原因の一つと言われています。

自分が認識している身体の動きと実際に動かしている動きが一致せずにエラーを起こしていたり、過度な練習を行ってしまうことで脳が最低限の刺激で指を動かすよう簡略化した司令を間違えて出すようになってしまうのです。

Harmoniaは、できる限り長く音楽を楽しんでいただきたいという一心で、楽器演奏をされる方の身体のコンディショニングを行っておりますので、お困りの方はぜひご相談ください!

ご予約方法

 整体サロンHarmonia(ハルモニア)は完全予約制です。以下の予約フォーム、LINE、お電話のいずれかでご予約ください。

予約フォーム

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※オンラインでの楽器奏者のコンディショニング相談に関しては、予約フォームあるいはLINE予約よりご予約ください。

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