夏どころか春が終わる頃から熱くなる熊谷市。暑くなってくると毎年注意喚起されるのが『熱中症』です。熱中症予防の対策については解説しましたが、では実際に熱中症症状かな?と感じた場合にはどうしたらいいかみなさんはご存知でしょうか。
今回は、自分が熱中症かなと思ったとき、熱中症になった方に遭遇したときにできる対処法について解説します。スポーツをする方は、日中炎天下で行う可能性もありますので、以下を参照にして注意していただければと思います。
熱中症と言われて思い出す症状は、頭痛、めまい、吐き気、倦怠感などだと思いますが、今一度再確認しましょう。全日本病院協会のホームページにおける『みんなの医療』というページにある熱中症の症状についての記載は以下のようになっています。
気温や湿度が高い環境のなかで、立ちくらみ、筋肉のこむら返り、体に力が入らない、ぐったりする、呼びかけへの反応がおかしい、けいれんがある、まっすぐに走れない・歩けない、体が熱いなどの症状がみられたときには、すぐに熱中症が疑われます。
なかでも、高体温、汗をかいていなくて触ると熱い、ズキンズキンとする頭痛、めまいや吐き気、意識障害がある場合は、重症です。
ホームページ:全日本病院協会,みんなの医療『熱中症について』
暑いときに上記にある諸症状が出たら、熱中症を疑ってもいいかと思います。
熱中症は症状によって『重症度』というものがあり、判断する基準もあります。
・Ⅰ度:現場での応急処置で対応できる軽症
立ちくらみ(脳への血流が瞬間的に不十分になったことで生じる)
筋肉痛、筋肉の硬直(発汗に伴う塩分の不足で生じるこむら返り)
大量の発汗・Ⅱ度:病院への搬送を必要とする中等症
頭痛、気分の不快、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感・Ⅲ度:入院して集中治療の必要性のある重症
ホームページ:全日本病院協会,みんなの医療『熱中症について』
意識障害、けいれん、手足の運動障害
高体温(体に触ると熱い。いわゆる熱射病、重度の日射病)
上記したものが重症度の基準となります。熱中症Ⅱ度以上の場合は、このあと重要な仕事の案件があったり、重要な試合が控えていたとしても病院へ行く必要があります。
近年でもニュースになりますが、熱中症は死亡例も多くある病気の一つですので、自分のからだを大事にしましょう。
では、熱中症の症状の人を見つけたり自分がなったりしたらどういう対処をしたらいいのかですが、全日本病院協会の応急処置方法を参照すると
1.涼しい環境に移す
風通しの良い日陰や、クーラーが効いている室内に2.脱衣と冷却
衣類を脱がせて、体内の熱を外に出します。さらに、露出させた皮膚に水をかけ、うちわや扇風機などで仰いだり、氷嚢で首やわきの下、太ももの付け根を冷やし、体温を下げます。3.水分と塩分を補給する
ホームページ:全日本病院協会,みんなの医療『熱中症について』
冷たい水、特に塩分も同時に補える経口補水液やスポーツ飲料などを。ただし、意識障害がある場合は水分が気道に流れ込む可能性があります。また、吐き気や嘔吐の症状がある場合には、すでに胃腸の動きが鈍っていると考えられるので、口から水分を入れることは避けましょう。
とあります。
1に関しては、野球やサッカー等屋外の場合、風通しの良い日陰を作るためにはテントやタープといったものの用意が必要ですので、ご家族が来るまで送ってきているのであれば、車のエアコンを効かせた中に移動するというのも方法かと思います。
2に関しては、バケツの水を体にかけ、シャワーを浴びたあとのような状態まで身体を水で濡らし、うちわや扇風機、送風機などを使って仰ぎます。これは気化熱を応用し身体の熱を取る方法です。また、ここには氷嚢で太い血管がある脇の下や太股の付け根を冷やすと記載がありますが、近年では、氷嚢を脇の下や太ももの付け根を冷やすことでは深部体温を下げるためには効率が悪いとも言われており、氷水を作ったバケツに両手や両足を漬け、手のひらや足の裏の毛細血管を冷やすことで深部体温を下げやすくする方法や、できるなら水風呂やプールに入って全身を冷やすということが推奨されてきています。
3に関しては、吐き気や嘔吐がなければ、経口補水液(OS-1)を少しずつ、ゆっくりと飲むといいかと思います。たとえ、吐き気や嘔吐がなくても胃腸が弱っている場合が多く、がぶ飲みすると吐いて余計水分を体外へ排出してしまうことに繋がります。
少しずつ飲んでも吐いてしまうようなことがある場合は、すぐに病院へ行き、点滴などの対応をして貰う必要があります。
上記では応急処置を書いてきましたが、これはあくまでも応急処置です。
熱中症を疑う症状あって、
「意識がない」
「呼びかけに対する返事がおかしい」
「ろれつが回っていない」
といった場合は、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。30分安静にしてれば変わってくるだろうなどと素人判断はしないようにしましょう。
前述してきた応急処置は、意識があることが前提です。身体のの冷却については、通院や搬送されるまでは続ける必要があります。
水分に関しては、先程も書きましたが、自力で摂れない場合は、医療機関へすぐかかりましょう。また、水分を自分で摂れ、必要な応急処置を行ったものの、症状が改善しない場合も、医療機関に行きましょう!
熱中症に気をつけたいのは老若男女全てですが、特にという方が、全日本病院協会のホームページでは以下のように提示されています。
乳幼児や高齢者は、熱中症を起こしやすいもの。暑い日や湿度の高い日には特に気をつけましょう。
まずは、乳幼児。大人よりも新陳代謝が活発で体温が高く、体外に汗を出す汗腺の発達が未熟のため、乳幼児は体温のコントロールがうまくできません。そのため、外出時には水分補給や服装に気をつけてあげましょう。顔が赤くなっていたり、汗をたくさんかいているときには、すぐに涼しい場所に移動を。
また、年をとると体内の水分割合が少なくなります。さらに高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくいもの。そのため高齢者は熱中症になりやすいのです。加えて、心機能や腎機能が低下していると、熱中症になった時の症状が重くなりやすいという傾向もあります。
このほか、運動に慣れていない運動部の一年生、肥満の人、寝不足や疲れなどで体調が悪いとき、二日酔いや下痢などで体内の水分が減っているときも、熱中症が起こりやすくなります。ちなみに、肥満の人に起こりやすいのは、皮下脂肪が多いと体内の熱が外に逃れにくくなるからです。
ホームページ:全日本病院協会,みんなの医療『熱中症について』
乳幼児に関しては、ベビーカーに乗っているときに特に注意が必要です。日除けを使ってあげたり、定期的にベビーカーから出してあげることも必要になります。虫よけや雨避けなどに利用されているビニールカバーをされている方をたまに見かけることがありますが、夏場はビニールハウスのような状態になってしまうためカバーは危険かと思います。
高齢者に関しては、前回の予防の話題の際に挙げたとおり、喉の乾きを感じにくいこともあり、暑さに対しても鈍感になっています。
また、二日酔いのアルコールを汗で流すと運動される方もおられますが、アルコールによって体の水分量が減っている状態で汗をかいたら余計水分が枯渇するため熱中症にかかりやすくなります。
天気がいい時期に、「お庭でBBQ!お酒を飲みながら!」という方もおられるとは思いますが、お酒以外にしっかりと水分を摂るように心がけましょう!
今回は、熱中症の症状について書いてきました。少しでもみなさんの頭の片隅に熱中症の知識が残ったら幸いです。