2022年1月15日(土)、16日(日)にて、熊谷市上之にあります職人さん作家さんと出会える着物屋「きものこすぎ」さんにてお客様向けの出張整体を実施させていただきました。
今回は、イベントでの活動報告と「整体によるきれいな姿勢から美しい着物姿勢をつくる」というお話について書いていきます。
今回、きものこすぎさんにて整体をさせていただくきっかけとなったのは、
「綺麗な姿勢で着物を着ていただくためになにかできることはないか」
という私の想いからでした。
着物に整体なんて…と思う方もいるかもしれません。
ただ、私の中で「着物を着ていると姿勢が整っていて着物を着こなしている」イメージであったため着物を着てでかけていらっしゃる方を見るたびに、猫背の姿勢が気になって仕方がありませんでした。
着物を普段から着ていらっしゃる方とお話する機会があり、いろいろご縁あって、きものこすぎ社長の小杉治さんからお声がけいただき、今回のイベント開催となりました。
お店の一角をお借りして、ポータブルベッドを設置させていただき対応しました。
着物は、「気品・風格という点では一番表現しやすいものと思っています」ときものこすぎ社長の小杉さんがおっしゃられていた様に、どなたが見ても素敵に見えるかと思います。しかし猫背や頭の位置が上半身よりも前方へ突出するようなストレートネックであったりスマホ首のような姿勢では、せっかくの着物も素敵に着こなすことができず、写真を取る際にも少々もったいない…なんてことも。姿勢が整っている佇まいのほうがより綺麗なシルエットで着こなせるかとHarmoniaは考えています。
着物と姿勢との関係で、見た目と同様に重要なのは着物の重さに耐えうる身体でいるためには姿勢が重要であるということです。洋服よりも和服である着物の方が重さがあります。夏場で1kg程度~冬場では2~3kgの重さがあると言われています。
条件は異なりますが、常に2kgの重量のリュックサックを背負っている状態を思い浮かべていただくのも良いかと思います。それだけの重量の着物を着用して1日お出かけになる場合、それらを1日支えるだけの姿勢と筋力が必要となります。
しかし、現代の生活は机と椅子を用いた生活である洋式の生活が中心となり、ちゃぶ台やコタツを使った和式生活は少なくなってきているため生活で使っていた筋肉を以前よりも使わなくなっています。トイレも蹲踞姿勢から椅子に座る姿勢へ、移動手段なども車など体力を使わない便利な道具が増えてきているため基本的な体力・筋力が昔よりも低下していると言われているのです。
そのため、必要な筋力が足りていないと着物を着用すると重さに負けてしまい姿勢が崩れてしまうことも考えられます。そのため、姿勢の崩れから全身に負担を分散することが出来ずに、肩・背中・腰・股関節・膝関節などの局所のコリ・痛みを生じることにつながるのです。
今回、9名の方の姿勢や身体の不調に対応させていただきました。今回対応させていただいた身体のお悩みは
- 肩こり・腰痛 4名
- 肩・肘の痛み 1名
- 四十肩・五十肩 1名
- 姿勢の崩れ 2名
- 坐骨神経痛・膝痛 1名
でした。
着物を着たあと肩こりをひどく感じる・歩く距離が長いと足の裏が痛くなる・お茶の稽古にて正座をすると膝が痛いなど着物着用時に関わる部分を施術させていただきました。
また、お家でできるストレッチや体操なども1~2つほどお伝えさせていただきました。
何名かの姿勢変化を載せさせていただきます。
その場での変化は出ますが、長い時間かけて抱えてきた負担でもありますので、継続的なメンテナンスは必要と感じました。
整体をさせていただく中で、どの方に共通していた身体の不調の特徴がありました。
- 太ももの外側が硬い
- 腰の筋肉が張っている
- 足の裏の筋肉が硬い
という3点です。これらは、草履を履いて歩くこと・お着物での所作に由来する部分があると思われます。
- 男女共通していることは、草履の鼻緒の部分を挟みながら歩く点
- 男性の場合は、裾を踏まないように踵が草履からはみ出して載っている点
- 女性の場合は、歩くときに大きく一歩を出すと着物が崩れてしまったり見栄えが悪くなるため小股で膝から下を使って歩くという点
これらの動作が、現代の洋式の生活に慣れてきている日本人の身体に負担をかけることにつながっていると考えられます。
実際、きものこすぎスタッフの方々に着物のことについて色々お話をお伺いしましたが、
「着物を毎日着用していて入職当初はふくらはぎの筋肉痛があった」
「着物を脱いでも身体が硬くて前屈できない」
といったお話をお伺いすることもありました。
こういった症状があると、着物を着ている着ていないに関わらず、肩こり・腰痛・膝の痛みなどは起こりやすいので、長く着物を楽しむためには定期的に身体のメンテナンスも行ってもらうとより楽しめるのではないかと思います。
ご利用いただいたお客様やスタッフの方とお話をしていて、質問がいくつかあったのでご紹介します。
着物を着る際に、締める「帯」。現代の人は、腰痛になると骨盤ベルトや薬局で売っているようなコルセットを着用したりしますが、昔の方は、さらしや帯をコルセット代わりに用いていたといわれています。
医療業界では今コルセット装着による腹筋の低下にはいろいろな意見が出てきています。
そのため、帯の付け方次第で腹筋が弱くなるのか否かが変わってくるのではないかと考えています。
例えば男性の場合、お腹をやや膨らませた状態で帯で苦しくならないように締めたとしましょう。すると帯の役割にコルセットの機能はなく、帯が腰に負担をかける要素となります。逆に、お臍の下辺りに引き締める力を入れて帯を締めると腹腔内圧が高まるため背中が丸まりにくくなりいい姿勢に保つことに役立ちます。
女性の場合、帯の位置が高いため、上腹部に衣服圧がかかるものの下腹部には衣服圧がかかりにくいため下腹部から上半身を支える腹腔内圧と呼ばれるお腹の圧力が抜けてしまうことが考えられます。すると、背筋を建てるために背中・腰の筋肉を頑張らな蹴らばならなくなるため、背中・腰の張りを感じやすいものと思われます。背中・腰のハリを感じにくくするために帯の上の縁に上半身をより掛からせると猫背なり、肩こり・背中の痛み・腰痛の原因となります。
そのため、いかに帯が身体と一体感を出せるか、帯の圧力に拮抗するお腹の力を入れておけるかが腹筋の筋力低下に関わるのではないかと考えます。
先にお伝えしたとおり、鼻緒を指ではさみながら歩くなどのことから草履を履く影響で足の裏の筋肉が硬くなりやすくなります。短指屈筋・小指外転筋・母指内転筋・短小指屈筋が特に疲労を起こしやすいようです。
そのため、100円ショップなどで売っている足の裏をマッサージできる器具やゴルフボールなどで、これらの筋肉がある部位を長時間草履を履いたあとなどにほぐしてあげるとよいでしょう!
今回、着物店での整体イベントをさせていただきました。「着物の魅力」と「着物を楽しむのに引き換えに疲れがたまり抜けないところがある」ことを感じた2日間となりました。
コンディショニングサロンHarmoniaは、着物を楽しく着こなす・素敵に着こなすために姿勢を整える、草履で移動して疲れた身体をケアをすることに貢献していきたいと思っています。
- 着物を着たあとの肩こり解消法を知りたい
- 草履を履いていての足の裏の痛みを和らげたい
- 長く着物を着ていられるように腰痛を解消したい
といった身体の不調がありましたら、ぜひコンディショニングサロンHarmoniaにご相談ください。
また、今回のように着物店へのイベント出店も承りますので、着物店の方はご相談ください。
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