趣味・仕事でピアノ・フルート・バイオリン・ギターなど楽器演奏をされているみなさん、ストレッチや柔軟体操など自分の体のケアはしていますか?
日頃行う歌唱練習や演奏練習、普段は1〜2時間、コンクールやコンサートなどの本番前は4〜6時間、オーケストラなどの合同練習の場合はメンバーで合わせる機会が少ないため8時間練習(休憩を入れて)するというお話もお聞きします。
練習する反面、アフターケアをしない人は多いです。練習後に身体をケアすると練習中のミスを減らし、パフォーマンスを高められるとともに腱鞘炎や肩こりなどを予防できること知っていますか?
練習中にうまく曲が弾けない原因を練習不足と考える方は少なくありません。
- 指がうまく動かない
- 打鍵する鍵盤を一つ分間違える
- オクターブ指がうまく開かない
どの原因も練習不足もあるかもしれませんが、練習だけでアフターケアを怠っていたことによるオーバーワーク(使いすぎ症候群)が起きていることもあるのです。指をたくさん動かす楽器奏者の方は多くは、指の筋肉が疲労することに慣れてしまっています。ですが、自覚がなくても肘から手首の間の前腕部分の手のひら側にある筋肉を押してみると痛みを訴える人が多いのです。
前腕部分の筋肉は指を動かす筋肉であり、違和感や痛みが続いた先に腱鞘炎・ばね指・胸郭出口症候群・TFCC損傷などのしばらく演奏できない困る症状になる可能性があります。
オーバーワークは、指以外にもボウイングを行う腕の筋肉・呼吸に関わる筋肉・姿勢を支える腰・股関節の筋肉などにも起こります。疲労をしっかりと取り除き、高いパフォーマンスを維持する・楽器演奏を楽しむためには、定期的な身体のケアが必要です。
では、身体のケアをすることでどんなメリットが得られるのでしょうか。
そこで、楽器奏者がスポーツマン同様、練習後・本番後のからだケアがどうして必要なのか、コンディショニングをすることで得られる利点を3つご紹介していきます。
楽器によってそれぞれに構え方、姿勢、重心位置のとり方は異なりますが、比較的左右非対称な姿勢で演奏する楽器が多いかと思います。フルート・ギター・バイオリン・チェロ・ホルンなどどれも左右非対称な演奏姿勢です。
そのため、演奏姿勢を保つために使われる筋肉や必要な筋力が左右で異なり、使い続けることで筋力差や柔軟性の差が生まれます。
例えば、フルートの場合、体に対して頭を左に向け、唇の下・右手の人差指の付け根・左手の親指の3点で楽器を支え、楽器が右側に長く伸びています。この状態で姿勢を安定させ、右腕・左腕それぞれで異なる楽器の支え方になるため左首・右肩・左胸・左脇腹に負担がかかりやすくなります。
人によっては、唄口に顔を近づけるようにしてしまい頭を突き出すような姿勢になってしまう場合もあるため、首にも負担がかかります。ポジションが崩れ始めると体全体への負担も増え、腕のだるさや呼吸苦にもつながってしまいます。
チェロの場合、椅子に座り、エンドピンと上半身の胸部で楽器を支え、人によっては胴体あるいは側板部分を太ももの内側で支える方もいらっしゃるかと思います。
椅子に座っている姿勢が猫背のように背中・腰丸まった姿勢のままチェロを支え、手首だけに力を入れて弓を動かすことで、腰痛や肩周りの張り、上腕・前腕の強張りや手首の痛みにつながることがあります。
その他にも、ヴァイオリンであれば指板にて弦を押さえる腕とボウイングする腕の位置・首の向きは左右非対称な立ち姿勢ですし、ギターであればネックを押さえる手と弦をはじく手の位置は異なりますし、ホルンであればレバーを押さえる手の位置・ベルを支える手の位置は左右非対称です。
ですので、左右非対称な姿勢をともないやすい楽器を演奏する際は骨格が歪みやすく、掛かる負担も左右で異なるためバランスが崩れやすくなるのです。
これらの問題は、日頃からコンディショニングを行うことで、左右非対称や楽器特有の姿勢からくる負担を解消することができ、パフォーマンスの維持・向上につながり質のいい練習や自信を持って本番に望むことにつながっていきます。
先程、演奏中の姿勢は左右非対称であったり、楽器特有の構え方があることをお話しましたが、実は日常生活上の座る姿勢・立つ姿勢の影響も演奏姿勢に反映されるのはご存知でしょうか。
デスクワークの多い仕事されている方・前傾姿勢での作業が多い仕事をされている方・1日中立ち仕事の方は、猫背や反り腰、スウェイバック姿勢など姿勢が崩れた状態で仕事をしていませんか?
足を組んで椅子に座っていることはありませんか?
立ち姿勢で作業をするとき、休めの姿勢に長時間なっていませんか?
上記した姿勢は、猫背・巻き肩・脊柱の歪み・骨盤の歪みにつながり、演奏姿勢を保持する上で必ず悪影響をもたらします。
なぜ、悪影響をもたらすようになるのか。猫背であることで肩甲骨が外に開いた位置に来ることで肩周りの負担を増やし、脚を組んで座ることで股関節の筋肉のバランスや骨盤の歪みを伴いやすくなり、休めの姿勢で重心が片方に寄った状態で立つことで上半身・股関節などの左右の筋力バランスが崩れやすくなるためです。
人の背骨は正しい位置にあることで効率よく力を伝える作用を持ち、S字カーブが保たれていることで上半身を円滑に動かすことができます。
ですが、上記してきたちょっとした姿勢の崩れから、脊柱が本来持っているS字カーブが崩れ、一番効率よく体幹が安定している姿勢が保てなくなり、結果として肋骨の間にある肋間筋という呼吸に関わる筋肉が硬くなってしまったり、前鋸筋や僧帽筋といった楽器を支えるために必要な筋肉が硬くなってしまったり、外腹斜筋という上腹部の筋肉が硬くなったりと悪循環を生み出します。するとブレスコントロールが難しくなったり指先が力みやすくなってフィンガリングでミスが出たりという悪影響を及ぼします。
こういった日常生活で起こりうる姿勢の崩れからの身体への負担を取り除き、無駄な力みや負担がかからない身体の環境づくりをすることがコンディショニングでできるのです。
楽器奏者に起こりやすい腱鞘炎やばね指、指のこわばり、フォーカルジストニアの原因の一つとして挙げられるのがオーバーユース(使いすぎ症候群)です。
プロ・アマ問わず、楽器奏者の方の多くが【指がうまく動かない = 練習量が足らないから】と考えがちです。しかし、指の筋肉の状態や関節の状態は、楽器を演奏していない方に比べると硬くなっている場合が多く、使いすぎに伴う筋肉の張りや関節の柔軟性が低下していることにほかなりません。
- 練習量が足らず、指の動きが最適化されていないから上手く演奏できないのか
- 指の筋肉を酷使しすぎて疲労を超えて硬くなってしまい指が動かないのか
どちらが原因なのかを突き止め、効率の良い練習を行うことがとても大切です。
セルフケアを張りや痛みなどを感じていなくても行い、コンディションを整えておくことで、気づかずに溜まっている疲労を回復させることにつながります。指の疲労の蓄積を見逃すことなく動きやすい指の筋肉や関節の状態に維持することが、故障の防止につながります。
練習後・本番後に身体のケアをすることで、
- 高いパフォーマンスを発揮する演奏姿勢を保てる
- 日常生活から起こる身体への影響を軽減する
- オーバーユースを予防することができる
という利点があることをお話してきました。できる限り長く、音楽を仕事・趣味として続けられる身体でいるようにコンディショニングを取り組んでいただけると良いかと思います。
練習前のラジオ体操や練習後のストレッチからスタートするのが一番取り組みやすいかと思います。お好きな方は、ヨガやピラティスなどをやってみるのも方法です。
自分一人でやるのが苦手な方は、整体やボディワークを行える専門家に依頼してもいいでしょう。
楽器奏者の不調に強い整体サロンHarmonia
整体サロンHarmonia(ハルモニア)には、【楽器奏者のコンディショニング】という音楽家に特化した整体メニューがあります。
合唱やミュージカルなどの歌唱・発声ををしている方の発声における姿勢や動作、楽器演奏する方の姿勢や動作を基に、うまくパフォーマンスが発揮できない、不調の原因を探し出し、施術・トレーニング・ボディワークを通しての発生しやすい・演奏しやすい身体の使い方へ改善していくメニューです。
- 長年かけて硬くなった身体を施術してほぐし使いやすい身体へ変える
- どんな姿勢が演奏する際負担を少なくするのかボディワークで伝える
- 硬くなった筋肉を自分どうストレッチしたら良いかアドバイス
- 発声や楽器演奏に必要な筋力トレーニングを個人の体の状態に合わせてアドバイス
といったことにも対応しています。
- 指の動きが悪くなりパフォーマンスが落ちた
- 演奏中、腕が重く感じて長時間練習できない
- 演奏後首が痛くなる
などの症状がある場合はお気軽にご相談ください!
整体サロンHarmonia(ハルモニア)は完全予約制です。以下の予約フォーム、LINE、お電話のいずれかでご予約ください。
※オンラインでの楽器奏者のコンディショニング相談に関しては、予約フォームあるいはLINE予約よりご予約ください。
※予約フォームは予約は希望時間の1時間前までです。当日予約をご希望の方はお電話かLINEが確実です。
ハルモニアで音楽家特化の施術「音楽家のコンディショニング」を始めようと思ったきっかけについてお話します。
Harmonia女性スタッフとしてともに活動している妻は、中学生からフルートを吹いており、呼吸の方法や楽器を持つ方の疲労などを感じてことがあったので、理学療法士として音楽家の方になにか出来ないかとずっと考えていたという話をされたことがあります。実際に、妻が所属していた市民吹奏楽団の方々の身体の状態を確認させていただくことがあった際、肩こりや腰痛、呼吸苦など身体の不調の訴えがあり、それに対する施術を行ったということもありました。
その時感じたのは、呼吸の方法一つでたくさん息が吸えるようになったり、強く息が吐けるようになったりパフォーマンスはガラリと変わるということ。呼吸に置いては、認識が間違っている人も多いため変化が出やすかったのです。
こういった呼吸苦で悩む管楽器奏者の方の負担を減らしたい、腱鞘炎・ばね指など指や手首のトラブルで悩む方を減らしたいという気持ちが音楽家の方への整体を行うことの1つ目のきっかけです。
整形外科クリニックのリハビリテーション科で勤務していた際、腱鞘炎でお悩みのチェリストの方を担当した経験も音楽家のコンディショニングを行おうと決意した理由の一つです。
そのチェリストさんは腱鞘炎だけでなく、過去には胸郭出口症候群で手のしびれがあり3ヶ月程度まともな演奏ができなかったことを経験されていた方でした。リハビリを行ううちに、腱鞘炎も改善され、胸郭出口症候群の症状も軽減していきました。
「定期的に体のメンテナンスがお願いできるところがないか」という相談があり、クリニックのリハビリではメンテナンスとしての利用はできないため整体という分野でサポートする必要があるのではないかと考えたのです。
チェリストの方とのお話の中で、楽器演奏者の方々に故障が多くどこにいったら治るのかわからないというお話もいただきました。
日本は、欧米に比べて音楽家専門の医療というものの発展が乏しいとともに、音楽家自身が身体の構造の理解や医学的なサポートを受けることの重要性を理解していないということでした。
「腕が張ってもいつも通りだから」
「腕がパンパンになるのは練習した証拠」
のように日本人特有の根性論のようなものがまかり通っており、それらのことは普通ではないことを理解してない方も多く、アフターケアが不十分なのが現状です。
理学療法士の立場から考えると、音楽家もスポーツマン同様、アスリートであると考えられます。本番に向けて練習を積み重ねて成果を出す。これはスポーツマンも音楽家も同じです。ただし、プロスポーツ選手にはチーム専属や個人個人にトレーナーや理学療法士が帯同していつでも体のケアを受けることができるのです。音楽家は体のことをわかっている方は、ヨガやピラティスその他整体などを利用し整えている人もいますが、一握りであることは間違いありません。
音楽家のコンディショニングがどうして必要なのかということに関して述べてきました。セルフケアが出来ている方もいらっしゃるかと思いますが、セルフケアをしていない方のほうが多いのが現状です。
身体の使い方については、人それぞれで癖や特徴が異なるため、全ての人に同じ施術やストレッチ、ボディワークが当てはまるかといったらそうではありません。自分の演奏中の癖や演奏動作における身体にかかっている負担を減らすために、演奏パフォーマンスを高めるためにどういった身体の使い方が有効なのかを相談していただける場所をつくるのが、整体サロンHarmoniaが音楽家に特化した整体を行う理由です。
もちろん、ボディワークだけでは変えられない体の硬さは、施術を含めてリセットしてから身体の動かし方を再構築していきます。日頃の身体の不調も含め、音楽家の方の身体の使い方を調整していきますので、ぜひ一度ご相談ください。
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