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【楽器奏者向け】ジョイント・バイ・ジョイント理論(Joint by joint theory)とは?演奏時の姿勢・不調を解説

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 楽器演奏において、腕や指の動きの自由度は、キィコントロール、音の強弱、演奏ミスの減少、そして何よりも故障の予防に直結します。

整体サロンHarmoniaでは、楽器奏者の方々へ以下のような身体の使い方をお伝えすることが多いです。

  • 上半身全体:柔軟性を確保し、力を抜ける状態を目指す
  • 肩甲骨:筋肉による安定性を重視する
  • 肘関節:曲げるだけでなく、適切に伸ばせる可動域を確保する
  • 手首の関節:柔らかく、しなやかに使う

なぜこれらのポイントが大切なのでしょうか? それは、人間が身体を効率よく動かすために必要な、関節ごとの役割があるからです。

今回は、身体を効率よく動かすための条件を説明したJoint by joint theory(ジョイント・バイ・ジョイント理論)という理論を解説していきます。

この記事を読むことで、あなたの抱える以下の悩みがどこから来ているのか、その原因と対処すべき部位が明確になります。

Joint by joint theoryとは?

 Joint by joint theory(ジョイント・バイ・ジョイント理論)は、米国の理学療法士であるGray Cook氏が提唱した身体の使い方の理論です。

この理論は、身体の各関節の役割を大きく分けて2種類に分類し、それらが交互に存在することで、効率的で機能的な動作が実現すると考えます。

Joint by joint theoryの核となる考え

 人間の動作は、各関節が固有の役割(可動性または安定性)を持って働きながら、複数の関節が同時に、そして協調して働くことで成り立っています。

  • mobility joint(モビリティ関節):可動性(動きの柔軟さ)が求められる関節
  • stability joint(スタビリティ関節):安定性(骨格を支えるための力)が求められる関節
関節の種類役割主な特徴
モビリティ関節可動性(柔軟な動き)球関節など、動きの方向性に富む
スタビリティ関節安定性(ブレない強さ)蝶番関節など、動きの方向が制限される
joint by joint theory
joint by joint theoryの各関節の分類

モビリティ関節の動きが低下したり、スタビリティ関節の安定性が低下したり、または関節同士の協調性が失われたりすると、筋肉の張りや痛み、そして演奏パフォーマンスの低下につながります。

ジョイントバイジョイント理論から考える演奏時の姿勢の崩れ

 この理論に基づいて、楽器演奏中の姿勢の崩れがどのように演奏に悪影響を及ぼすのか、具体的な例で考えてみましょう。

猫背の場合

 猫背は、本来可動性が必要なモビリティ関節である胸椎(背中の上部)の動きが悪くなっている状態です。

その結果、以下の不調を引き起こします。

  • 呼吸の制限
    胸椎と関節を作る肋骨(あばら骨)が動きにくくなり、肺の動きが制限されます。管楽器や声楽の呼吸の深さに影響が出ます。
  • 肩甲骨の不安定化
    スタビリティ関節である肩甲胸郭関節(肩甲骨と背骨の間の関節)の安定性が崩れ、「巻き肩」のように肩甲骨が外側に開いてしまいます。
  • 肩の動きの制限
    肩甲骨の不安定化は、モビリティ関節である肩関節(腕の付け根)の動きを制限し、腕をスムーズに上げたり回したりする動作に支障をきたします。特定の筋肉(棘下筋小円筋など、肩関節の後ろ側にある筋肉)に過度な負担がかかり硬くなります。

猫背によって、肩甲骨の安定性が崩れると、肩・肘・手首といった下流の関節の可動性・安定性も保てなくなります。

その結果、手のしびれ手首の痛み(腱鞘炎など)、指の力みやカクカクとした動き(ばね指など)といった症状につながる可能性があります。

猫背で座っている男性の写真です。

反り腰の場合

 反り腰は、本来安定性が必要なスタビリティ関節である腰椎(腰の骨)において腰の筋肉における過剰な力みや骨盤をまっすぐ立てて置くための腹筋群の筋力の弱さが共存している状態です。

これにより、モビリティ関節である股関節や胸椎の可動性が低下しやすくなります。

  • 管楽器奏者
    胸郭(胸部分)がうまく動かないことによって呼吸筋のバランスが崩れ、「長いフレーズで息が続かない」「息が吸いにくい」といった呼吸の悩みを感じやすくなります。
  • ピアノ奏者
    腰椎が安定して支えられていないことによって腰に過度に力が入ったり、猫背になってしまうことで、肩周囲の筋肉や腕の筋肉に力みが生じやすくなり、肘・手首・指の悩みを感じやすくなります。

反り腰に伴い、脊柱(背骨)全体のS字カーブが失われる姿勢になる方もいます。これにより、モビリティ関節である肩関節の柔軟な動きや、スタビリティ関節である肘関節の安定性が悪くなり、上腕の疲労感・張りや、手首・指の力みが出やすくなります。

特にマーチングなどで重たい楽器を抱えて演奏する方は、反り腰での演奏が続くと腰の痛みとともに股関節の可動性も低下し、股関節周囲の筋肉が力みやすくなる傾向があります。

左側がスウェイバック姿勢、右側が反り腰の写真です。
左:スウェイバック姿勢 右:反り腰

するとモビリティ関節である肩関節の柔軟な動きや、スタビリティ関節である肩甲胸郭関節・肘関節の安定性が悪くなり、上腕の疲労感・張り、手首・指の力みなどが出やすくなります。

マーチング等で重たい楽器を抱えて演奏する人は、反り腰の状態での演奏が続くと腰の痛みとともに股関節の可動性が低下するため股関節周囲の筋肉が力みやすくなります。

まとめとHarmoniaからのご提案

 今回は、ジョイント・バイ・ジョイント理論を通して、身体の各関節の役割について解説しました。ご自身の演奏動作のスムーズさやパフォーマンスアップのために、どこの関節がモビリティで、どこの関節がスタビリティなのかを理解することは非常に重要です。

ヨガやピラティス、ストレッチなどで不調なく過ごせている方は問題ありません。しかし、演奏中の不調を感じており、その原因が分かっても、それに対する適切な対処法を知らなければ、身体の負担は取り除けません。

楽器奏者専門の整体サロンHarmoniaへ

 整体サロンHarmoniaでは、モビリティ関節、スタビリティ関節それぞれが適切に機能しているかを確認しながら、演奏姿勢や楽器の種類を加味したオーダーメイドの施術・トレーニング・ストレッチをご提案している楽器奏者のコンディショニングを行っています。

実際に、施術を受けられた多くの奏者様から「指の力みが減った」「長時間の演奏後の疲労が激減した」といったお喜びの声をいただいています。

不調をそのままにしていると、いずれ痛みやしびれなど症状がひどくなり、大好きな演奏活動に支障をきたすようになります。

そうなる前に、まずは一度お問い合わせください。身体の負担を根本から減らすためのボディワークをご提案し、あなたの演奏をサポートいたします。

チェロの演奏動作をチェックし、痛みが出る原因を探している場面

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免責事項

本記事は情報提供を目的としており、特定の疾患の診断や治療を目的としたものではありません。具体的な症状や身体の不調がある場合は、必ず専門の医療機関にご相談ください。

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