「仕事でパソコンを使っていると肘が痛い…」
「フライパンを持ったり、雑巾を絞ったりすると肘の外側がズキッとする…」
「子どもを抱っこするのが辛い…」
こんな肘の痛みを経験し、整形外科を受診したら「テニス肘ですね」と言われたことはありませんか?
「テニスなんてしたことないのに、なぜ?」
そう思われる方も多いかもしれません。実は「テニス肘」、正式には上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん) と呼ばれ、テニスプレイヤー特有のものではありません。
この記事では、テニスをしていない方にも起こるテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の原因、症状、自分でできるチェック方法、そして具体的な対処法(ストレッチ)について、熊谷市の整体サロンHarmoniaが分かりやすく解説します。
ピアノ奏者など楽器を演奏される方にも起こりやすい症状ですので、ぜひ参考にしてください。
テニス肘は、肘の外側にある骨の出っ張り(上腕骨外側上顆) に付いている筋肉(主に手首や指を伸ばす筋肉) に、繰り返し負担がかかることで炎症が起き、痛みが生じる状態です、中高年以降の女性に後発します。
主な原因を紹介します。
最も一般的な原因は、手首を反らせたり(手の甲側に曲げる)、指を伸ばしたりする動作の繰り返しです。
- パソコンのキーボード・マウス操作
- 重いものを持つ(買い物袋、フライパン、赤ちゃんなど)
- タオルや雑巾を絞る
- ドアノブを回す、ネジを締める
- 楽器の演奏(ピアノ、ギターなど)
これらの動作で、肘の外側の筋肉に繰り返し負担がかかり、筋肉の付け根(腱)に小さな傷や炎症が起きてしまうのです。
中高年以降、特に女性に多く見られる傾向があります。これは、加齢に伴って筋肉や腱の柔軟性が低下したり、少しずつ組織が弱くなったりすること(退行性変化)が関係していると考えられています。
そこに使いすぎによる負荷が加わることで、炎症が起こりやすくなります。
意外かもしれませんが、姿勢もテニス肘と深く関係しています。
肘の外側の筋肉(長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋など)は、上腕や肩を通って、首から背中にかけて広がる筋肉(僧帽筋など)と筋膜などの組織でつながっています。
猫背や巻き肩のような姿勢でいると、首や肩周りの筋肉(僧帽筋など)が常に緊張した状態になります。この緊張が、つながりを通じて肘周りの筋肉にも伝わり、肘の筋肉が硬く、負担がかかりやすい状態を作ってしまいます。

そのため、悪い姿勢が続くと、肘への負担が抜けにくくなり、テニス肘が慢性化しやすくなるのです。
テニス肘の主な症状は、肘の外側から前腕(手首までの腕の部分)にかけての痛みです。特に、以下のような動作で痛みが出たり、痛みが強くなったりします。
- 物をつかんで持ち上げる(コップ、カバン、フライパンなど)
- タオルや雑巾を絞る
- ドアノブを回す、瓶のフタを開ける
- パソコンのマウスやキーボードを操作する
- 手のひらを下に向けて物を持つ
- ピアノでオクターブや和音を弾く
痛み始めると、特定の動作をするのが辛くなり、日常生活や仕事、趣味(楽器演奏など)に支障が出てしまうことも少なくありません。
ご自身の肘の痛みがテニス肘の可能性があるか、簡単なテストでチェックしてみましょう。痛みがある場合は無理しないでください。
肘をまっすぐ伸ばした状態で、手のひら側を下に向けて、椅子の背もたれを手でつかみます。(重すぎない、4kg程度の椅子が目安です)
そのまま椅子を持ち上げます。
この時に肘の外側に痛みが出れば、テニス肘の可能性が高いです。

肘をまっすぐ伸ばし、手を軽く握り、手首を手の甲側に反らせます。
パートナーや反対側の手で、握ったこぶしを手のひら側に押さえ、抵抗を加えます。
この抵抗に対して、手首を反らせたまま耐えようとしたときに、肘の外側に痛みが出れば陽性(テニス肘の可能性が高い)です。

肘をまっすぐ伸ばし、手のひらは下向き、指もまっすぐ伸ばします。
パートナーや反対側の手で、中指の甲側を上から押さえます。
この抵抗に対して、中指を上に持ち上げようとしたときに、肘の外側に痛みが出れば陽性(テニス肘の可能性が高い)です。

テニス肘の痛みを和らげ、原因となっている筋肉の負担を軽減するために、日頃からできるストレッチを紹介します。痛みが強い場合は無理せず、できる範囲で行ってください。
【重要】 ストレッチは「痛気持ちいい」と感じる範囲で行い、強い痛みを感じる場合は中止してください。
肘の外側についている筋肉(手首を反らす筋肉)を伸ばすストレッチです。
- 痛む方の腕を、肩の高さで前にまっすぐ伸ばします。肘は伸ばしたまま、手のひらを下に向けます。
- 手首をゆっくりと手のひら側に曲げ、指先が床を向くようにします。
- さらに、指先が少し内側を向くように、ゆっくりと腕全体を内側にひねります。(手の甲がやや外側を向くイメージ)
- 反対側の手で、伸ばしている方の手の甲全体を包むように持ち、ゆっくりと自分の体の方へ引き寄せるように押します。肘の外側から前腕にかけて伸びているのを感じましょう。
- 【ポイント】 指先だけを押すのではなく、手の甲全体を押すと、手首がしっかり曲がり効果的です。
- 気持ちよく伸びているところで20秒キープします。これを3セット行いましょう。


- テーブルや机の前に立ちます。
- 両方の手の甲をテーブルの上につけます。指先は自分の方へ向け、肘は軽く伸ばします。
- 手のひらをできるだけテーブルに近づけるように、ゆっくりと手首を曲げていきます。
- さらに、指先がやや外側を向くように、腕を少し外側にひねるようにすると、よりストレッチ感が得られます。(無理のない範囲で)
- 肘の外側から前腕にかけて伸びているのを感じながら、20秒キープします。これを3セット行いましょう。


テニス肘は、安静にしていると筋肉への負担が減り、痛みが一時的に和らぐことがあります。そのため、「痛みが治まったから大丈夫」と放置してしまう方も少なくありません。
しかし、痛みを引き起こした根本的な原因、例えば筋肉の硬さや柔軟性の低下、負担のかかる体の使い方、姿勢の悪さなどが改善されない限り、腕を使う作業を再開すると、すぐに痛みが再発してしまう可能性が高いのです。
何度もテニス肘を繰り返してしまう方は、日常生活や仕事、趣味(楽器演奏など)での腕の使い方、特に手首を反らす動作で、無意識のうちに肘に過剰な負担をかけているケースが多く見られます。
当サロンでは、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対して、単に痛む場所へのマッサージを行うだけでなく、なぜそこに炎症が起きてしまったのかという根本原因を探ることから始めます。
- 詳細なカウンセリングと動作分析: 日常生活やお仕事、趣味(楽器演奏時のフォームなど)での体の使い方を詳しくお伺いし、肘に負担がかかる原因となっている動作や姿勢の問題点を見つけ出します。
- 炎症部位への適切な施術: 痛みや炎症を起こしている肘周りの筋肉や腱に対して、負担を軽減し回復を促すための施術を行います。
- 根本原因へのアプローチ: 痛みの引き金となった筋肉の硬さや張りを丁寧に取り除きます。さらに、その硬さを作り出す背景にある肩甲骨周りの不安定さや猫背・巻き肩などの姿勢、上半身全体の柔軟性不足などにも着目し、体全体のバランスを整えることで、肘にかかる負担を根本から減らしていきます。
- 再発予防のためのアドバイス: 正しい体の使い方や、ご自宅でできるセルフケア、姿勢改善のエクササイズなどを指導し、痛みが再発しない体づくりをサポートします。
「手首をそんなに使っていないのに肘が痛い」という方も、ぜひ一度ご相談ください。体の他の部分の硬さや歪みが、肘の痛みに繋がっている可能性があります。
今回は、テニス経験者以外にも起こりやすいテニス肘(上腕骨外側上顆炎)について解説しました。
日常生活での何気ない動作の繰り返しや、加齢、姿勢などが原因で起こる肘の痛みです。痛みが一時的に治まるからといって放置していると、ふとしたきっかけで痛みが再発し、慢性化してしまうこともあります。
ご紹介したストレッチを試しても痛みが変わらない場合や、痛みが強くてストレッチ自体が辛い場合は、テニス肘だけでなく他の問題が隠れている可能性もあります。
そんなときは、我慢せずに専門家にご相談ください。
埼玉県熊谷市石原にある整体サロンHarmonia』では、肘の痛みだけでなく、体全体のつながりから問題点を捉え、根本的な原因を取り除く独自の『Harmonia式アプローチ』であなたの症状改善をサポートします。
つらい肘の痛みから解放され、快適な毎日を取り戻しましょう!まずはお気軽にご相談ください。
参考書籍
- 標準整形外科学 医学書院
- 整形外科学・外傷学 文光堂
- 音楽家と医師のための音楽家医学入門 協同医書出版社