手をバンザイしていると手のしびれが出たり、怠くなってバンザイしていられなくなったりする症状を引きをこす『胸郭出口症候群』とう疾患。
日常生活において電車の吊り革捕まっていられなかったり、荷物を運ぼうとするとしびれが出てしまったり、楽器演奏中においてチェロなどのボウイング中にしびれを感じてうまく演奏ができないといった不調の原因の一つです。
どうして胸郭出口症候群が起きてしまうのか、今回は原因と対処法について解説していきます。胸郭出口症候群でお悩みの方の解決のヒントになる内容なのでぜひご一読ください。
胸郭出口症候群の診断名は、病的状態においてさまざまな名称があります。「頸肋症候群」「前斜角筋症候群」「鳥口下小胸筋症候群」「肋鎖症候群」「中斜角筋症候群」「過外転症候群」「第一胸肋症候群」など多々挙げられています。
胸郭出口症候群は、前斜角筋、中斜角筋、第一肋骨に囲まれた斜角筋三角部、あるいは肋鎖間隙部など、4領域における鎖骨下血管の圧迫による血流障害と、発生頻度の高い腕神経叢の内側神経束下幹の圧迫による絞扼と認識されています。
胸郭出口症候群の症状は、多彩ですが、神経症状と血管症状に分けられます。
- 後頭部、頸部、肩甲骨、上肢の痛み
- 上肢の尺側側のしびれ感
- 感覚異常(腕神経叢下神経幹が最も障害されやすいので、内側上腕・前腕皮神経や尺骨神経の支配領域に症状が出やすい)
- 手指の筋力低下、筋萎縮
【動脈系】
- 皮膚冷感
- 蒼白
【静脈系】
- 浮腫
- チアノーゼ
【血管運動系】
- レイノー現象(寒冷刺激や精神的緊張によって、手足の小動脈が発作的に収縮し、手や足の指の皮膚の色が蒼白、暗紫になる現象)
など
自覚症状として、上肢のしびれ感、倦怠感、易疲労感、脱力感、痛み、冷や汗などのほかに肩甲帯部のコリ・痛み・脱力感、項部(うなじ部分)のコリ・痛みなどを感じます。
胸郭出口症候群の主な症状をご紹介しましたが、実際に胸郭出口症候群が起きてしまう原因は一体何でしょうか。
実は一番大きな原因は姿勢です。
特に巻き肩・なで肩や猫背など、首から肩にかけて負担の出やすい姿勢になっていると
- 斜角筋三角部 = 前斜角筋・中斜角筋の過緊張による神経・血管の圧迫
- 肋鎖間隙部 = 鎖骨が下がり、第一肋骨と近づくことでの神経・血管の圧迫
- 鳥口下小胸筋部 = 小胸筋の過緊張による神経・血管の圧迫
など、神経や血管を圧迫して起こる症状を引き起こしやすくなります。
ですので、なで肩や猫背になったままの姿勢を保持して身体が硬くならないように注意する必要があります。
前述してきた胸郭出口症候群の原因に対して行える対処法はなにがあるでしょうか。
先程述べたように、巻き肩や猫背が原因で起こりやすい胸郭出口症候群。姿勢の崩れの要因となる一つにリュックサックの肩ストラップが長すぎるということがあります。
学生や若い方に特に多く、見た目を重視して腰のあたりでリュックを背負う人も少なくありません。ですが、これは胸の前の筋肉や首の筋肉に大きな負担がかかり胸郭出口症候群の原因となります。
対処方法としては、リュックサックの重さの重心が高い位置に保つために肩ストラップの長さをできる限り短く設定することが重要です。
リュックサック本体が背中の上部に密着するように背負えると首・肩への負担が少なくなります。
登山をする方がリュックを背負うときはなるべく体の負担を減らすようにするためにストラップは短く設定します。
肩ストラップを固定するための胸ストラップがあるリュックの場合は、胸ストラップも短く設定することで肩ストラップ自体を胸ストラップを介することで上半身全体で支えられるようになります。
産後のママさんであれば、抱っこ紐の肩ストラップの長さも原因となります。
ウエストベルトは、骨盤にかけずにおへその高さでしっかりと絞るようにセッティングし、お子さんとご自身の体に手のひら1枚分の隙間になるまで肩ストラップを短く締めます。
また、背中のストラップに関しては、両脇の下を結んだ高さと同じ高さに設定し肩甲骨と同じ幅に長さ調整すると背中全体で抱っこ紐を支えることができるようになります。
荷物運びの多い職業の方は、避けられないことかもしれませんが、痛み・しびれ・脱力感がある状態で無理すると悪化しかありませんので、症状がみられたら重たいものを持たないように筋肉を休ませることも必要になります。
抱っこ紐を使わず、片手で子供の抱っこをしているママさんに関しても同じことが言えます。
産後のダメージを受けた体の状態で、片手抱っこはたとえ骨盤にお子様のお尻を預けていても腕・胸の筋肉に負担がかかり続けています。
それを続けると胸の筋肉が悲鳴をあげ、しびれや脱力感の原因となるため、装着は少々大変ですが家事中などは抱っこ紐を活用していただけるとよろしいかと思います。
つり革を持つと指先の血の気が引いたり、怠くなる方いらっしゃいますよね。
そういった方は、胸郭出口症候群の初期症状と言われており、無理に高い位置に手を上げたままにするのは良くないと言われています。
そのため、床にある荷物を棚の上に持ち上げる動作をたくさん行う機会がある仕事などでは負担が多くなるため、脚立を使用して手を高く挙げなくても済むようにするなどの対策が必要となります。
楽器演奏者の場合、フルートやヴァイオリンなどずっと空間に保持しておかねばならない楽器に関しても同様のことが言えます。
上記の姿勢や動作だけ気をつけても胸郭出口症候群の症状が楽にならない人に関しては、神経や血管の圧迫に関与している大胸筋や小胸筋、鎖骨下筋、前鋸筋と行った筋肉が硬くなっている可能性が高くなります。
今回は、小胸筋や大胸筋、鎖骨下筋に関わるストレッチを一つご紹介します。
行ってしびれが強くなる場合は無理せず、専門家に相談し、別のセルフケア方法をしっかり聞きましょう。
胸郭出口症候群は、まずは筋肉をほぐしたり使えていない筋肉を使えるようにすることで神経・血管に負担をかけないようにすることからスタートします。いわゆるリハビリです。
姿勢を含めて神経・筋肉に負担をかけないような身体の使い方に変えていく必要があります。長年猫背や巻き肩など、神経・筋肉に負担をかける姿勢でいたりするため、
リハビリも何もしないで手術をするのは正直おすすめできません。音楽家や腕を使う仕事の方はなおさらです。
整体サロンHarmoniaでは、胸郭出口症候群を引き起こす原因に対して
- 首の付根にある斜角筋という筋肉の緊張状態
- 鎖骨や肩甲骨の位置関係
- 胸や肩周囲から指先にかけての筋膜や筋肉の柔軟性の問題
- 肩甲骨を挙上させるための筋力の問題、さらには頭や上半身の位置関係
といった姿勢の問題を多角的に捉え、どこから神経の圧迫症状が引き起こされているのかを追究します。そして
- 凝り固まった筋肉の柔軟性を引き出す
- なで肩や猫背にならないよう首・肩周りの筋力トレーニング
- 日常生活での姿勢や肩から腕の使い方をアドバイス
- 楽器演奏者の方にはボディワークを通して、負担のかからない演奏姿勢を手に入れるようにアドバイス
などの方法で、再発予防につなげていきます。
胸郭出口症候群は、安静にしていれば治る症状ではありません。施術の介入にて、負担のかからない身体の使い方に姿勢や肩甲骨・鎖骨周囲の筋肉の状態を改善しないと脱力感やしびれで悩むことになります。
最悪の場合は手術になりますが、神経圧迫症状を取り除くために肋骨を切除する手術方法となります
しかし、首から肩にかけての筋力バランスの問題が解決していなければ、神経・血管の圧迫が解決しない場合もあります。最悪の場合、肋骨を切除したことによって肩甲骨の動きや首周りの筋肉の状態が不安定になってしまうことが考えられ、腕が動かしにくくなったり、肩が貼りやすかったりといったデメリットもあるため定期的なメンテナンスは必要です。
骨自体の奇形などがなく、なで肩や巻き肩といった肩甲骨や首周りの問題が解決されていないのであれば、これらの問題解決のためにリハビリや整体をすることが最優先とHarmoniaは考えます。
薬の処方や電気治療のみで、何も解決されない場合はぜひハルモニアにご相談ください。楽器演奏中の痺れなどに困っていらっしゃる方は、演奏が続けられる身体づくりをサポートいたします!
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参考書籍
・理学療法学ゴールドマスターテキスト4 整形外科系理学療法学