今回は、ご縁あってTFCC損傷という右手首の痛みと胸郭出口症候群という左腕のしびれに悩まされていたピアニスト・ピアノ講師の施術を出張にて対応させていただきましたので、ご紹介させていただきます!
TFCC損傷と胸郭出口症候群について簡単にご紹介します。
TFCC損傷は、三角線維軟骨複合体という部分が損傷して手首の小指側に痛みが出現するもので、整形外科に受診するとサポーター処方と痛み止めのお薬を処方されることが多く、安静にしてくださいと言われることが多い損傷です。
炎症が落ち着いたあとも、関節拘縮を起こしている部分を改善させないと痛みがなかなか良くならない場合が多いのが特徴です。
胸郭出口症候群は首の付け根部分や鎖骨・肋骨部分で骨・筋肉が原因で神経・血管が圧迫されることで手のしびれや腕の脱力感が生じる病気です。
猫背や巻き肩、なで肩の姿勢になりやすい人、重たいものを持ち運ぶ仕事の人、ピアノ・フルート・ヴァイオリン・チェロ・トランペットなど空中で腕を保持する必要がある楽器演奏者の方にみられやすい病気です。
整形外科に受診するとしびれを改善させる薬の処方や重たいものを持たないように・腕を挙げる機会を減らすようになどといった指導をされ、リハビリがあるところでは、リハビリの指示が出たりします。
肋骨の一部を切除する手術を提案されることもありますが、第一選択肢はリハビリテーションです。
詳しくは、以前書いた記事に症状やちょっとした対処法などをご紹介しておりますので参考にしてください。
さっそくですが、出張施術にて行ったことをご紹介します!出張だからといって特別変わったことがあるかというとそうではありません。店舗で提供させていただいているものを出張でも行っております。
まず、立ち姿勢と座り姿勢をチェックさせていただきました。手首・腕の張りや痛みなどの負担を感じている方は、猫背やスウェイバックという横からみたら頭が前に突き出し、背中が丸まり、骨盤を前に突き出して立つ姿勢になっている傾向が高くなります。
今回のピアニストさんの場合、まさにスウェイバックの姿勢となっておりました。
TFCC損傷と部分は、手首が橈屈制限がみられていました。
この手首の橈屈制限は、演奏中に手首を尺屈させる動作が多くなっているとTFCCに負担がかかり炎症や拘縮をおこしやすくなります。オクターブの演奏にて指先から運指を行ったり、ピアノと身体との距離が近すぎることで腕を動かしにくくしている場合に起こります。
また骨盤の歪みのチェックなども行いました。
骨盤は左右の上前腸骨棘という骨の出っ張り部分の高さを左右で比較すると右側のほうが左に比べて親指1本分低い状態でした。
これだけ差があると骨盤にねじれの負担が生じ、腰の筋肉や股関節の筋肉が硬くなっていることが推測されます。
こうやって客観的に姿勢を確認することは個人ではなかなかありませんので、ご利用されたお客様は驚いておりました。自分自身では、左右のバランスの違いを感じ取ることはなかなか難しいものなのです。
手首の動きの硬さに対する施術はもちろん、全身の体の歪みを整える施術を行いました!
股関節の付け根を伸ばすストレッチハムや太もも裏を伸ばすストレッチ、腰の筋肉を伸ばすストレッチ、肩甲骨モビライゼーション、手関節モビライゼーション、インナーマッスルトレーニングなどを行いました。
全体的に施術をさせていただきましたが、手首への施術自体は10分かからない程度でした。
どちらかというと、手首よりも肩甲骨や体幹の問題を徹底的に施術・ストレッチしていきました。
施術前後の動きの比較になります。原因となっていた右手首と左肩甲骨周囲の変化を見ていただければと思います。
TFCC損傷後の硬くなっていた手首に関しては、親指側に手首を倒す橈屈という動きの可動域が広くなり、青線と緑線を比べていただいても変化がみられます。
橈屈の可動域が出たことで、ピアノ演奏時にオクターブを打鍵するときの手首の力みによるTFCCの違和感や痛みが軽減され、右手で高音域を打鍵するときに操作しやすくなります。
胸郭出口症候群のでお悩みの左肩や姿勢に関しては、赤線部分が左肩の肩峰と呼ばれる肩の骨の部分を目安にし、緑線で背中の一番丸まっている部分を目安にしていますが、その距離が狭くなっているが少なくなっているのが写真からも見えるかと思います。緑線に関してはafterのほうが、足の裏に掛かる位置まで移動していることから上半身の重心が中央によっていることがおわかりになるかと思います。
上半身の重心が骨盤上へ乗ることによって胸が張りやすくなり、胸郭出口症候群の原因となる巻き肩・猫背を予防することができます。
施術後に普段の演奏と比べてどうなのかを比較していただきました。
事前にSNSで手首の痛みについてご相談を受けていたので、その際にお伝えしたピアノと身体との距離と椅子の高さについて調整するようお伝えしていました。
痛みで辛かったときの座り姿勢を見直すとだいぶピアノと身体の距離が近く、視野も狭くなっており、鍵盤の両端側に近づくにつれて肘を軸にして肩をねじるように開いていることがわかったそうです。
写真を見ていただくとわかるように高音域を打鍵しようとした際の肩・手首の動き方が異なることがわかるかと思います。
また、手首の運び方について少々アドバイスさせていただきました。
TFCC損傷や手首の痛みを訴える方の多くが、外側の鍵盤を打鍵する際に指先から移動させ、自分自身で手首の負担を増やしています。
そういった方は、手首の小指側から移動させるように少々意識するだけで手の運び方が変化してきます。
今回は、TFCC損傷・胸郭出口症候群に悩まれてるピアニストの方に出張施術をさせていただきました。実際にご自身が使っていらっしゃるピアノで調子の確認ができるたのが嬉しいとのお話もありました。
店舗でも、ピアノ先生に対する施術を行っていますが、猫背・巻き肩・頭が前方へ突出しているという姿勢の方が多く、首・肩・背中の張りや痛みを感じている方は多いです。
また、指先の疲労感を日頃感じながらも慣れてしまっていて休めば治ると思われている方が多いのですが、練習中に疲労感を感じている時点で指を動かす筋肉の疲れが残っています。その疲労がフィンガリングのパフォーマンスを低下させていることに気づいていない方も多いのです。
前腕や手のひら、指に対しての施術をすることで「オクターブ押さえるのが大変だったけど、指が開きやすくなったから楽になった!」「フィンガリングしやすくなった!」とお話しいただく方は多いです。
前述してきたようにピアノと身体との距離や手の運び方などで体の負担が変わる部分もあるため、姿勢や動作から体の負担を見つけ出すことを得意とするコンディショニングサロンHarmoniaを一度ご利用ください。
今回の出張対応は、音楽教室へ伺いさせていただきました。音楽教室に限らず、
- ご自宅
- 企業
- 音楽教室
- スタジオ
- 練習拠点
- コンサート会場の控室
などにも出張いたしますのでご相談ください。
最高のパフォーマンスが発揮できるように、身体のサポートさせていただきます。