膝の痛みの最終形態である変形性膝関節症。加齢や関節にストレスがかかり続けることで、関節内に炎症を起こしたり、関節が変形して膝周りに痛みを生じる疾患です。
一度、膝が変形したら元通りにはならず、手術をせず継続的にリハビリをするか、人工膝関節の手術をして関節変形から脱却してリハビリするか選ぶことになります。背に腹は代えられないと膝を手術したにもかかわらず、退院後に「膝の痛みが続く」「膝の曲げ伸ばしが行いにくくなった」と感じる方がいます。
手術したら良くなると言われたのにどうして…と思う方も多いですが、それにはちゃんとした理由があるのです!
変形性膝関節症に対する人工膝関節の手術をしたのに痛みがとれない主な原因は、
の3つあります。
膝を手術するにあたり20cm程度、皮膚を切開するため回復したときに手術痕が残ります。切られた皮膚が回復するときに手術痕の下にある筋肉や靭帯、骨などに貼り付いてしまう状態が癒着です。
手術痕の皮膚は癒着しやすいため、皮膚の動きを取り戻すことがとても大切です。癒着しないようにかさぶたが取れた段階で皮膚にアプローチします。皮膚の動きを出すアプローチが不十分だと癒着してしまいます。
手術痕が癒着していると膝の曲げ伸ばしをするときに、手術痕につれるような痛みを感じるようになります。痛みを感じたときは、早めに癒着をはがすアプローチが必要です。
変形性膝関節症になると膝関節の曲げ伸ばしの機能が著しく低下します。膝関節を安定させる靭帯・関節包、関節を動かす筋肉、クッション材の役割をする脂肪組織が硬くなり関節の動きが悪くなる関節拘縮を起こします。
膝を手術し、関節の構造が元の状態に近くなっても関節拘縮は元に戻りません。関節拘縮が残ると、手術以前の痛みをかばう身体の使い方や力の入れ方を繰り返してしまい、立ち座りや歩いているとき、寝ているときなどに膝周りの筋肉や靭帯などに負担がかかり痛みを感じます。
膝の痛み・変形に伴い、大腿部の筋肉(外腹斜筋・大腿筋膜張筋、外側ハムストリングス・薄筋など)、膝裏の筋肉(膝窩筋)、梨状筋などが膝の関節を安定させるために硬くなります。
膝周りの筋肉の硬さに加え、腹筋群の弱さから反り腰や腰を丸める姿勢を保持している方が多く、膝が外方向や内側方向へ曲がるストレスをかかえています。膝が伸び切らない人は、内側広筋という膝関節を伸ばす筋肉が、筋力低下を起こしています。
膝が痛くて腰が引けた状態で歩いている人は、お尻の筋肉である大殿筋が筋力低下を起こし、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋といった筋肉がお尻の筋肉の代わりに働きすぎて硬くなることで膝の痛みにつながります。
手術後の膝の痛みをとるために対策は何があるのか。
- 手術痕の癒着をはがす
- ストレッチをする
- 弱くなった筋肉を鍛える筋トレをする
- 受けているリハビリを継続する
上記の4つは最低でも必要です。
手術痕の癒着で膝の動が悪くなり痛みを引き起こすため、癒着をはがす必要があります。手術痕をつまんでゆすったり、手術痕の周りを筋肉の上を皮膚を滑らせるようにもむなどの方法があります。
しかし、独学では癒着をはがすセルフケアを理解するのは難しいため、理学療法士など癒着をはがす知識をもつ人に一度教わる必要があります。
癒着部分をはがすアプローチ後は少々痛みを伴って手術痕周囲に熱を持ちますが、2〜3日後には熱も引いて皮膚の動きが良くなる傾向にあります。痛みが続いてしまう場合は、皮膚を引っ張りすぎていたり、同じところをもみすぎている場合があるので注意しましょう。
手術前からあった柔軟性の低下を改善するためにふくらはぎや太ももの筋肉、股関節の筋肉のストレッチを行うことが重要になります。
大事なストレッチのひとつに、『太もも裏からふくらはぎにかけてのストレッチ』があります。
膝関節の後ろ側の筋肉や太もも裏の筋肉をストレッチすると、膝関節を伸ばすやすくなります。その他にも必要なストレッチやセルフケアの方法はありますが、変形性膝関節症の状態や身体の使い方によってストレッチやセルフケアの方法が異なります。
理学療法士などの専門家に相談して、自分にあったストレッチやセルフケアの方法を相談しましょう。
変形性膝関節症の人は筋力低下を起こすことを説明しましたが、お尻の筋肉や太もも裏の筋肉、膝を伸ばすために使われる内側広筋という筋力が弱い方も多いです。人により、内ももの筋肉である大内転筋やお尻の外側にある中殿筋と行った筋肉の筋力低下もあります。体幹を支えることに関わる腹部の筋肉も筋力低下を起こしている場合もあります。
そこで、背中・腰・お尻・太ももの筋肉を同時に鍛えるブリッジ運動をご紹介します。
お尻の大きな筋肉である大殿筋や太もも裏内側にある半腱様筋・半膜様筋が弱い方は、お尻が高く挙げられない場合が多いため、継続して行うことが大切です。
太もも裏がつりそうな場合は、一度太もも裏を伸ばすストレッチを行ってください。ストレッチで張った太もも裏の筋肉を緩めたあとにブリッジ運動を繰り返すと太もも裏の筋肉を無理なく強化することができます。
ブリッジ運動中に両膝の間が開いてきてしまう方は、厚み15cm程度の枕や座布団を膝の間にはさんで膝が開きすぎないように工夫しましょう!うまくできない場合や膝に痛みを感じる場合は、やり方が自分に合っていないので理学療法士などに相談が吉。
ストレッチや筋力トレーニングを挙げてきましたが、不調が続くようであれば入院時から続けていたリハビリが継続できるのが一番です。膝周りの癒着や関節拘縮、筋力トレーニングに対する対応ができる上、日常生活に必要な椅子からの立ち座りの方法、床からの立ち座りの方法なども指導してもらえます。
しかし、医療保険のもとでは整形外科疾患になってから150日というリハビリの期限があり、150日にてリハビリを終了されてしまうこともしばしば。(医師による判断に任されています。)
膝の痛みが取れるまでに1〜2年かかる方もいるため、正直150日では足らないという現状もあります。「治すんだ!」という気持ちで、地道に膝に対するストレッチや運動を続けていくことが痛みを改善させるための一番の近道です。
病院で行っていたリハビリを継続できるようなお店や施設を探してみるのも一つの方法です。
変形性膝関節症の人工関節手術後の痛みに関して解説してきました。リハビリを行うことで1年〜2年と時間はかかっても変形する前に近い状態まで動きやすさを取り戻せる人もいます。
手術してから退院までの期間が短くなっている昨今、長期間入院して時間をかけてリハビリはできません。外来リハビリを継続してもらえると安心ですが、病院・クリニックなどで続けられない場合もあります。
整体サロンハルモニアは、10年以上理学療法士として病院・整形外科クリニックにてリハビリテーションに従事し、変形性膝関節症の方のリハビリを対応してきたスタッフがおります。保険適応はできませんが、培ってきた知識と技術をもとにあなたの今の状況に合わせたリハビリを継続すること、病院で行っていたリハビリとはまた違った方法でアプローチすることができます。
現在、変形性膝関節症の手術後の人はもちろん、手術をしないで現状のままで保存療法で維持していきたいという方にも定期的にご利用いただいております。セルフケアに限界を感じたり、今行っているリハビリで改善する傾向を感じなければハルモニアにご相談ください。
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