フルート演奏中に、左中指のキィを押すと左薬指・小指まで一緒に曲がってしまい、変なタイミングで音が出てしまったり音を出したいタイミングでキィを押さえられないといった経験されている方はいらっしゃいませんか?
病院で診察してもらったら「フォーカルジストニア」と診断される方も少なくありません。
このような症状が出始めたとき、どんなことに注意していったらいいのでしょうか。今回は原因と悪化させない対策についてご紹介します。
特定の筋肉が自分の意図に反して収縮したり、固まったり、震えたりする不随意運動の一種です。全身ではなく、身体の特定の部位(局所)にのみ症状が現れるのが特徴です。
筋肉そのものの異常ではなく、脳が運動の司令を出す際に、神経回路が混線して本来の動きに必要ない筋肉にまで司令を送ってしまう状態と考えられています。
楽器演奏する方には、指が巻き込む・伸び切る・アンブシュアの形が崩れるなどの症状が現れることがあります。
詳しくはフォーカルジストニアに関しての記事をご参照ください。
フルート演奏中の左薬指・小指が握り込む症状が出る理由は様々です。ここでは3つ提示します。
フルート演奏における左指のキィの押さえ方は、他の楽器に比べて特殊であり、人差し指・中指・薬指・小指で写真のように指の使い方が異なります。
キィを押さえるとき、効率よく中指・薬指・小指を動かすには第3関節を中心に動かします。しかし、指の握り込みが見られる方には、第1関節・第2関節で指を動かす傾向がみられます。

指を曲げる筋肉には浅指屈筋と深指屈筋があり、浅指屈筋は第2関節(PIP関節)・第3関節(MP関節)を、深指屈筋は第1関節(DIP関節)を曲げる動きに関わっています。
人差し指どちらの筋肉も人差し指・中指・薬指・小指すべての動きに関与し、単独で動かすことに不向きな筋肉です。
指先でキィを操作しようとすると浅指屈筋・深指屈筋に過度に負担がかかり、指を個別に動かしにくくなったり、力みや巻き込みにつながります。

フルートを譜面台と平行に構えたとき、30~45度右方向へ上半身・骨盤とも同一方向へ開くのが楽器を構えたときに負担のかかりにくい姿勢となります。
しかし、指の不調を抱える人にしばしば見られるのが、フルートを上半身に引きつけるように構え、骨盤だけが30~45度右へ開いているあるいは、骨盤もフルートと並行近い位置関係で構えている演奏姿勢です。
この構え方をしていると、左手で押さえるキィの位置が上半身を開いているときと比べて遠くなるため、左脇の下を締める力み・肘を曲げる力み・手首を反らす力みが起こりやすくなります。

手首を反らすと人体の構造的に指を握るテノデーシスアクションという動きが出やすくなり、指を曲げる動きが出やすくなるのです。この状態が続くと、指の筋肉のバランスが崩れて意図せず握り込みやすくなる傾向にあります。
指の動かし方の意識の違いやフルートの構え方による過剰な負担に加え、練習の積み重ねによる指の筋肉のオーバーワークによっても引き起こされるリスクがあります。
負担の少ない指の動かし方、負担のかかりにくい構え方であっても、指の筋肉を使い続ければ必ず疲労します。新しい曲を覚えるとき、くり返し苦手なフレーズを練習するとき、中指だけを動かす・セルフケアをしっかり行っていれば問題ありませんが、セルフケアを行っている人は少ないです。
常時、練習中は指を動かしているため、指の筋肉に疲労を感じるということが麻痺しています。指の疲労感を感じる場合、それはもうすでにオーバーワークを起こしている状態に他なりません。
指の動きをそれぞれ個別に動かしやすくする方法として、第3関節(MP)から指を動かす方法があります。
第3関節を動かす筋肉には、虫様筋・掌側骨間筋・背側骨間筋があり、中指には虫様筋・背側骨間筋、薬指には虫様筋・背側骨間筋・掌側骨間筋、小指には虫様筋・掌側骨間筋があります。


これらの筋肉は、先に述べた浅指屈筋・深指屈筋のような指先を曲げる筋肉と異なり、指を単独で動かすことに向いているため、第3関節からキィを押さえるように意識することで、脳からの司令の混線が起きにくくなります。
ただし、これを意識しても浅指屈筋・深指屈筋がオーバーワークを起こし、前腕がガチガチな状態だと効果が薄い可能性があります。その場合は、オーバーワークによる筋肉の緊張状態を緩め、スムーズに指が動く環境に整える必要があります。
フルートを譜面台に対して水平に構えたとき、上半身・骨盤は30~45度、右側に開いた位置になるように構えてみましょう。
自分とフルートの間に楕円形のものを抱きかかえるようなイメージで構えるのも一つの方法です。

この構え方を意識してもだんだんと元の引きつけてしまう構え方に戻ってしまう場合は、楽器を支えるための肩甲骨周囲の筋肉根本の力が足りていないため、肩甲骨を安定させるためのトレーニングが必要です。
フルート演奏中の巻き肩は、指の握り込みだけでなく、首の痛みや肘の痛み、肩の痛みなど不調が起こる最大の要因です。
左右非対称な楽器の構え方の中で、繊細に指のコントロールが必要なフルートにおいて、巻き肩になることで、本来の効率の良い筋肉の使い方から肩甲骨→肩関節→肘関節→手首→指と徐々に使い方が崩れていきます。
巻き肩にならないように姿勢を注意するだけで効率の良い構え方に整っていく人もいますが、長年崩れた構え方になっている方の場合、関節や筋肉の柔軟性を引き出し、正しく関節を使うことから始め、構え方を修正していく必要があります。
フォーカルジストニアと診断される状態になっている方の多くは、指の筋肉にオーバーワークを起こしているケースがほとんどです。この原因は、
- 長年の練習で指の疲労に慣れてしまって限界に気づけない
- スポーツほど全身運動ではないので、演奏後に筋肉のアフターケアをしない
- 演奏会が立て込んでいると、無理をしてでも練習し、本番へ
- 完璧主義・不安を感じやすい性格である
といったことが挙げられます。
指の筋肉が疲労を起こした状態でのエラーは、はじめは神経には問題がなく、筋肉がうまく動いてくれないことで起きます。
しかし、そのエラーを繰り返すことで脳根本が間違った認識をしてしまい、中指を動かすと薬指・小指まで一緒に動かす司令を出してしまい、指の握り込み症状が起きやすくなると考えられています。
そのため、演奏中に指を巻き込んでしまう感覚が現れたときに注意しなければなりません。楽器を演奏される方の多くは、指がうまく動かないと「練習不足」と考える方が多いですが、過度な練習や特定の苦手なフレーズだけを繰り返すことはやめ、理学療法士などできる限り早く身体の状態を評価できる人に相談しましょう。
フルート演奏中の左手薬指・小指の巻き込みは、パフォーマンスに影響を及ぼし、演奏へのモチベーションの低下や演奏を継続できるかどうかにも関わります。
奏法を変えて自己流でどうにかしようとする人が一定数いますが、解剖学・運動学を理解できていなければ負担を増やし、症状を悪化させることにつながります。
埼玉県熊谷市にある整体サロンHarmoniaは、他店では行っていない「楽器奏者のコンディショニング」を提供しています。
- 演奏する際の姿勢・動作から不調の原因を分析
- オーバーワークによる筋肉の柔軟性を引き出す施術
- 解剖学・運動学に則った身体の使い方をトレーニングするボディワーク
- 負担を軽減させるための演奏姿勢の提案

楽器演奏する方に特化したアプローチで不調を整えていきます。自己流で解決しようとせず、ぜひご相談ください。
整体サロンHarmonia 


