椅子からの立ったり座ったりするときに膝の内側や外側に感じる痛み。いつの間にか治ったりするため「なんだったんだろう?」と思う方も多いかと思います。
膝の痛みは、膝関節が本来の動きから間違った動きを行ったときに感じやすくなります。間違った動きを伴う場合、どこかしらの筋肉が硬くなったり、筋力が弱くなっていて膝をバランス良く支えられておらず痛みが出現します。
痛みがないからと安心できません。身体の使い方が悪くなっていないか見直す必要があります。
今回は、膝を痛める立ち方・座り方の原因と膝に負担をかけない立ち方・座り方の方法について解説していきます。
立ち座りで膝の痛みを感じる人の傾向として代表的なものに
の3つの動作・行動が当てはまります。
立ち上がる際に反動をつけて勢いよく立ったり、椅子に対してゆっくり座れず、ドサッと尻餅をつくように座るという方、いらっしゃるのではないでしょうか。
反動をつけて立つ・ドサッと座る人は、立ち・座りに必要なお尻・太もも前・ふくらはぎの筋肉といった脚全体の筋力が弱くなっている人にみられます。床を踏みしめて膝・股関節を伸ばす力が発揮できない、座るときにも上半身の重みを支えながら膝・股関節を曲げてゆっくり座ることができないので動きを制御できていないのです。
太ももの前側にある筋肉が弱くなると本来過剰に働くことのない、膝の裏・太もも裏側にある筋肉に負担がかかり硬くなっていくことで痛みを伴うようになります。
女性に多い両膝を近づけた状態での立ち座り動作。内股での立ち座りに慣れている人は、楽だと感じて行っていますが膝の痛みが出現する原因となります。
内股での立ち座りが楽に感じるのに、膝への負担がかかっているとはどういうことなのか。
内股での立ち座りは、関節にある靭帯や筋肉を骨につなぐ腱という硬い組織で関節を支えているため、関節を安定させるために働く筋肉の数が少なくてすむため楽に感じます。
しかし、靭帯や腱に繰り返し負担がかかると炎症を起こして痛みを感じるようになり、特定の筋肉だけに負担がかかっていることで、筋肉が疲労を起こして硬くなると痛みが出現してしまうのです。
疲労を起こしやすい筋肉は、お尻のちいさな筋肉である梨状筋や大腿方形筋、太もも外側にある大腿筋膜張筋、外側広筋です。本来であれば、立ち座りに重要な中殿筋・大殿筋というお尻の筋肉や膝を伸ばすために必要な内側広筋という筋肉が活動するのですが、内股だとこれらの筋肉がうまく働きません。
梨状筋や大腿方形筋、大腿筋膜張筋や外側広筋だけを繰り返し使うことで疲労が蓄積し、筋肉が凝り固まってしまう筋硬結になります。筋硬結した部分は、血流障害を起こして疲労物質や痛みの物質が血流によって押し流せなくなるため、気づいたときには痛みとなって現れます。
膝だけでなく、股関節の付け根にある筋肉やふくらはぎの外側にある筋肉、すねの筋肉が太もも外側の筋肉の硬さをかばい、張ってきて痛みを感じます。
両膝が付く内股ではないですが、膝の向きよりもつま先が外側を向いた状態で立ち上がる方もいらっしゃいます。
この姿勢は、扁平足の人や足の指を握る力のない人に多い傾向にあります。長距離歩くと足の裏が痛い、踵が痛い、アキレス腱の付近が張って痛いといった症状を感じる方に多いです。
つま先だけが外に向いた状態での立ち座りは膝関節がねじれた状態であり、必要以上に関節の中の半月板や膝を支える内側の靭帯・関節包にストレスがかかっています。
つま先を膝よりも外に向けて立ったり座ったりすると、ふくらはぎの外側や太もも裏外側の筋肉を過剰に使用するようになり、やがて膝の内側・ふくらはぎの外側・太もも裏外側の痛みが出現します。
では、膝関節痛が起きにくい立ち方とはどういった動作になるでしょうか。膝の痛みが起こらない理想的な立ち方は以下のポイントが重要になります。
両膝をつけた状態で立つ人が多いですが、正面から見たときにつま先と膝の位置関係が床に対して垂直に並んだ状態で立つことが痛みの原因となる膝のねじれるストレスを減らすことにつながります。
この立ち方に慣れてないうちは、立ちにくさを感じたり、疲労を感じます。しかしそれは、股関節周囲・太ももにある筋力のバランスが崩れている証拠です。
はじめのうちは辛さを感じますが、繰り返すうちに筋力バランスが整い、膝を閉じなくても立てるようになります。くれぐれも立ちにくいから元の両膝をつけた立ち方に戻らないように意識しましょう!
立つときに足の位置を意識するだけでも立ちやすくなり、膝への負担が減ります。つま先が膝より前に出ないように足を後ろに引いてから立つようにすると、立ち上がるときの体重移動がしやすく足の裏に乗せやすくなるため、立ちやすくなります。
反動をつけて立ってしまう人は、この方法に慣れるだけで反動をつけなくても立ち上がりやすくなります。ただし、前述した膝を内側に入れたり、つま先を外に向けたりすることなく、膝とつま先が垂直の位置関係にあることも大切です。
足を後ろに引く空間的な余裕がなければ、椅子に座る位置を浅くすると膝よりも足が後ろに引けるようになりますのでお試してみてください!
膝に負担をかけない立ち方には、上半身の使い方も重要になります。
先に説明してきた膝よりもつま先が後ろに位置するように足を引いた状態で、足の裏に体重を乗せることが重要です。上半身の重みを乗せることで膝に掛かる負担を最小限にすることが可能です。
上半身を前傾させるときは背中・腰を丸めて前傾するのではなく、上半身はまっすぐ保ったまま股関節から前傾していくと足の裏に体重が乗ったときに自然とお尻が椅子から離れるようになります。
座るときは、足の裏のどこに体重を乗せておくかがとても重要です。勢いよく座る方は、座るときの重心が踵になっていたり踵よりも後ろになっていることが多いですし、両膝が近づいた状態で座ってしまう人は土踏まず側に体重を乗せていることが多いです。
正しい体重を乗せる位置は、足の裏全体であり、つま先重心・踵重心でもありません。
イラストのように指・指の付け根から小指の延長線上・踵に至るまで足の裏全体で体重を支えることが膝の負担を避ける重要なポイントです。くれぐれも土踏まずに体重を預けるようにするのだけは避けましょう!
つま先より膝が前方へ飛び出しすぎないように、股関節から上半身を前傾させてお尻を突き出すように座るのが大事です。このとき腰が後ろに丸まってしまわないよう、少し背筋を伸ばしておくことが必要です。
自分が思っているよりもたくさんお辞儀をするように上半身を前傾させる必要がありますので、ひよこのお尻のように突き出すイメージにして座ると行いやすいです。すると、座るときに太もも前側の筋肉だけでなくお尻や太もも裏の筋肉、背中の筋肉を使って座ることができるため、膝の負担を減らすことができます。
立つときと同様、座るときもつま先と膝の位置関係が床に対して垂直であることがとても大事です。垂直に保って座ることで、大殿筋・大腿四頭筋全体・ハムストリングス・腓腹筋を活用して姿勢を制御しながら座ることができます。
今回は、膝の痛みに関わる立ち方・座り方についてご紹介してきました。膝関節の痛みは、安静にしたりしばらくすると痛みを感じなくなることも多いため、治ったと勘違いしてしまいがちです。しかし、膝の痛みが現れる立ち方は、いずれも特定の筋肉に過剰な負荷がかかり、特定の筋肉が弱くなることで悪循環に陥っています。
一時的に痛みが引いていても治っているのではなく、膝をかばうために足首や股関節周囲、体幹の筋肉が必要以上に働いてしまうため、股関節痛や腰痛、ぎっくり腰などにもつながっています。
変形性膝関節症は、膝にかかった負担が積もり積もって負担を取り除かなかった最悪のパターンといえます。
些細なことですが、普段から立ち方を気をつけることでも膝の痛みの予防ができます。立ち方を気をつけても膝の痛みが改善しない場合は、過剰に働いてしまった筋肉が硬くなり、筋力が発揮できない状態になっています。
そういった場合は、理学療法士などの専門家に相談して早めに解決していくことが必要です。
整体サロンハルモニアには、姿勢と動作にアプローチする専門家である理学療法士の資格を持ったスタッフが在籍し、膝の痛みを根本的な問題から改善していきます。ぜひ一度ご相談ください。
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