ダブルリードを唇でくわえ、空中で楽器を保ちながら呼吸をもちいて演奏する楽器『オーボエ』。キィを押さえて音程を変えるだけでなく、リードに流す空気の量を調整することも重要な楽器です。
オーボエの不調として、首の痛み・頭痛というお悩みをいただくことがあります。どうしてオーボエの演奏中・演奏後に首の痛み・頭痛が起こるのでしょうか。今回は、首の痛み・頭痛が起きる原因とその対策についてご紹介します。
オーボエ演奏で感じる首の痛み・頭痛は、演奏中の頭の位置が上半身よりも前に突き出した状態であることが影響しています。
頭を上半身よりも前に突き出した姿勢は、顎が上がり頭と首の付け根部分を曲げた状態で維持しなければ行けないため、首の後ろの筋肉が必要以上に負担がかかるようになります。
また、首の横側についている筋肉も頭を支えるために必要以上の負担がかかります。
すると、後頭部に走っている神経を筋肉が圧迫するようになったり、首から頭へ血液を送る血管が圧迫されるようになるためため頭痛が起こりやすくなります。
演奏中に頭の位置を上半身より前に突き出してしまうのにはいくつか原因があります。
猫背は、頭を前に突き出す1番の原因といっても過言ではありません。
猫背によって背中が丸まると上半身の重心が後ろに下がり、バランスを取ろうとしては、頭を前に突き出す姿勢になります。
この姿勢のまま演奏が続くと後頭部や首の後ろの筋肉が疲労を起こし、首こりや頭痛へとつながります。
また、肩は前下方向へ下がるように肩甲骨を固定しやすくなり、これによっても首の前側の筋肉が硬くなり首の痛みや頭痛へつながります。
猫背は、楽器演奏中だけでなく日常生活での座っているとき、立っているときの姿勢も影響しています。演奏フォームだけを注意している場合は日常生活での姿勢が崩れていないか見直していきましょう。
オーボエに限らず呼吸を使う楽器の方は、肺に空気をいれるために上半身の柔軟性が重要です。
本来、息を吸うときは、横隔膜が収縮することで肺へ空気が送り込まれ、肋骨が広がるように動きます。しかし、楽器演奏の多くで呼吸をするにあたり、お腹を風船のように膨らませて腹式呼吸を意識することを学生時代から習います。
実は、お腹を膨らませることを意識することで横隔膜をうまく使えず呼吸リズムが崩れてしまい、肋骨の動きを固めやすくなることで空気をうまく取り込むことができなくなる場合があります。
すると、努力的に息を吐く機会が増えて胸郭をすぼめる筋肉や上腹部の腹筋、横隔膜、首の筋肉が必要以上に力むようになります。演奏を繰り返すと胸郭・上腹部・横隔膜・首が疲労して筋肉の血行不良から硬くなり、猫背を引き起こして、頭を前に突き出すような姿勢となり首の痛み・頭痛を引き起こします。
オーボエで空気の流量を調節する際に、リードでの調整以外に呼吸やアンブシュアにて調整します。
呼吸で流量を調節するために、わざと頭を突き出して前傾姿勢になることで舌や喉周囲の筋肉を働かせて気道を狭くし、空気の流量を調節する方が少なからずいます。
喉や首にある舌骨筋群が緊張して縮こまると顎二腹筋という筋肉が頭蓋骨を首の骨に対して前方向へずらす負担をかけるため首の後ろ側の筋肉が必要以上に働きます。
この方法は、喉の筋肉にも首にも負担をかける楽にパフォーマンスを発揮する方法とは正反対の演奏姿勢にほかなりません。そのまま演奏を続ければ首の痛み・頭痛だけでなく腰痛や背中の痛みにもつながります。
オーボエを演奏する際、リードをくわえます。リードをくわえる力が必要以上に強いと、顎の筋肉が疲労しやすくなります。
また、頭を前に突き出した姿勢のまま演奏することでもリードをくわえる力が強く働き首へ負担をかけます。
リードを挟むための口を閉じる筋肉は、顎だけでなく、頭蓋骨の横部分である側頭部にもあります。顎だけでなくこめかみ部分まで張りや疲労感、痛みを感じる場合は、側頭筋という筋肉の過剰な緊張が頭痛を引き起こすこともあります。
顎の筋肉を押して痛みを感じる場合は、首の痛み・頭痛に関係しているかもしれません。
オーボエ演奏をしていて首の痛み・頭痛が起きないためにできる対策についてご紹介します。
オーボエを演奏する上で、首に負担をかけないようにするためには演奏姿勢を見直すことがとても大切です。スマートフォンなどを使い、自分の演奏姿勢を客観的に見てみましょう。上半身よりも頭がかなり前に突き出た状態で演奏している場合は、首の力みが起こる原因があるかもしれません。
座ったときに椅子に当たる骨の部分(坐骨)に上半身・頭の重みが乗るように姿勢を保てると良いでしょう。重心は足の裏にかけず、基本的には坐骨に重心が乗るように意識します。
オーボエは、肘が横に広がらず、顎があがらないでリードをくわえられる高さに力まず構えられるのが目安です。
負担の少ない姿勢で構えられると、努力的に息を吐くことも減り、肩の力み・腕の力み・肘の痛み・手首の痛み・指のこわばりも合わせて軽くなります。
姿勢を変えても緩まない部分は、筋肉自体を一度しっかりほぐして上げる必要があります。
呼吸を使う楽器全般に言えることですが、首・肩の不調を感じる場合、呼吸の方法や意識の仕方を変える必要があります。以下に呼吸に関することをいくつか挙げてみます。
- お腹を膨らませたまま息を吐く
- 横隔膜を使って吐く
- 背中を丸めるように息を吐く
一つでも当てはまった人は、演奏中の呼吸が首・肩へ負担をかける要因になっている場合があります。
息を吸うときに空気が入る場所『肺』であり、お腹ではありません。お腹をふくらませるように息を吸うことを意識するあまり、空気がお腹に入ると考えている方が一定数いらっしゃいますが、肺に空気が入ったことで体内の圧力がお腹に逃げることで膨らんでいます。
そのためお腹を膨らませながら息を吐くというのは、人間本来の呼吸機能を正しく使えていないため負担がかかります。横隔膜を使って息を吸うことはできても、吐く機能はありません。
楽器演奏は努力呼気を用いることがほとんどで、イラストにある呼気筋を使って楽器に空気を送っています。
腹横筋・腹直筋・内腹斜筋・外腹斜筋というお腹の筋肉を息を吐くときに使いますが、横隔膜付近で吐くように意識すると外腹斜筋が過剰に働きすぎてしまいます。
お腹を膨らませたまま息を吐くと、腹横筋・内腹斜筋をうまく使うことができず、息を強く・長く吐くことができなくなります。
お腹を膨らませるイメージで吐くという方法は、内腹斜筋・腹横筋という上半身を支えるために重要な筋肉が息を吐くときにお腹を凹ます方向へしっかりと力が入ることが前提であり、お腹を凹ます力を働かせながら膨らませる力をいれることで腹圧を高めて息を吐きやすくする方法です。
深呼吸の際に息を吐くときにお腹が膨らんでしまう人は、腹横筋・内腹斜筋が正しく使えていない場合があるため、お腹を凹ましながら息を吐く練習からスタートしましょう!
客観的に姿勢をみて負担のかからない姿勢にしようとしたり、呼吸の方法を正そうと思ってもうまくいかない、頭痛・首こり・肩こりが改善する感じがないといった場合は、一度身体の使い方の専門家に相談してみるとよいでしょう。
楽器演奏は、日常生活の身体の使い方とは異なる部分が多いため、楽器演奏中の身体の使い方を踏まえて負担をどう改善していったらいいかを相談できる場所が良いでしょう。
マッサージやもみほぐしのような痛い場所だけを施術するのではなく、演奏姿勢や動作に基づいた身体の使い方を指導してもらえる理学療法士などに相談できるといいですね!
整体サロンHarmoniaは楽器奏者のコンディショニングを行っています!
整体サロンHarmoniaでは、楽器奏者の身体の不調に対するコンディショニングを行っています。演奏中の首・肩・腕・肘・手首・指の痛みや動きにくさはもちろん、演奏中の姿勢がどう身体の不調に関わっているかを分析し、身体の使い方をご提案します。
ピアノ・ギター・ヴァイオリン・チェロ・フルート・オーボエ・バスクラリネット・ユーフォニウム・三味線・シンガーソングライターなどの方の施術を今まで対応してきています。
人間本来の身体の使い方に基づいた施術・エクササイズをご提案していますのでぜひ一度ご相談ください。
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