ピアノを演奏していて感じる親指・小指の痛み。始めのうちは休めば治った痛みも、段々と治りにくくなり、日常生活において箸を持ったりコップを握ったりする際にも痛みを感じるようになります。
痛みがある状態で演奏を続けることで、今まで続けられていた練習が満足にできなくなるとともに、練習中のミスを増やします。また、集中力が欠けやすく、今まで演奏できていた曲でもミスが起きることでストレスを感じるようになります。
本番も痛みが伴うことで、緊張しやすく、精神的にも不安定になるためエラーも起きやすく、満足した結果が得られない可能性が高いです。
では、何が原因で痛みを感じやすくなるのでしょうか。
親指・小指の痛みは、以下の写真のように親指・小指の腹の部分や親指・小指の側面に痛みが生じやすいのが特徴です。それぞれ✕で示した場所は、筋肉が硬くなりやすい部位であったり、腱鞘炎が起きやすい場所であったりします。
手首付近の痛みも感じている方は、別の記事にてご紹介していますので合わせてご覧ください。
ピアノ演奏者にみられる手首の腱鞘炎・ばね指はなぜ起こる?ピアノ演奏中に親指・小指の痛みは、直接的な原因と間接的な原因が考えられます。
親指・小指の痛みが起こる直接的な原因として、筋肉のオーバーワークが考えられます。和音が多い曲やオクターブを打鍵しなければいけない曲を演奏する機会が多い方に痛みが出現する傾向があります。
親指・小指を大きく開いての打鍵では、
- 親指・小指を大きく開くために必要な長母指外転筋・長母指伸筋・短母指外転筋・小指外転筋
- 親指・小指をU字に固定したまま打鍵するときに必要な母指対立筋・小指対立筋
といった筋肉が使われやすく、同じ動作を繰り返すことでオーバーワーク(使いすぎ症候群)を起こします。
親指あるいは小指だけで打鍵するときに使用される機会の多い、長母指屈筋・短母指屈筋・短小指屈筋もオーバーワークを起こしやすい筋肉です。
オーバーワークを起こした筋肉には、筋硬結というコブ状の硬い部分ができてしまい、筋肉の収縮機能が悪くなると同時に、血行不良・痛みを引き起こします。
親指・小指の痛みが起こる間接的な原因として、
- 日常生活・演奏中の姿勢の崩れ
- ピアノと椅子との距離・椅子の高さ
が考えられます。
日常生活や演奏中の姿勢の崩れに関しては、主に『猫背』『巻き肩』の場合に親指・小指の負担が増えるようになります。肩甲骨を支える背中の筋肉が適切に働かなくなると胸の前側や腕への負担が増え、次第に指の力みへとつながります。
勉強するとき、スマホ操作をするとき、本を読むときなど猫背や巻き肩の姿勢には気をつけたいですね。うつ伏せで肘を付きながら本を読んだり、仰向けでスマホを操作するといったことも腕への負担を増やし結果的に指の動きにくさに繋がりますので注意が必要です。
日常生活・ピアノ演奏中の姿勢以外の間接的な要因として、ピアノと椅子との位置関係や椅子の高さの問題があります。ピアノと身体との位置関係による身体の負担に関しては、以下の記事に詳しく書いてありますので合わせて読んでみてください。
ピアノ演奏時に感じる手首・前腕の痛み・違和感は、ピアノと椅子との距離に関係する!親指・小指の痛みの原因について解説しましたが、指の痛みの原因に対する対策についていくつかご紹介します。
手のひら側の筋肉をストレッチする動画をご紹介します。
手の甲側の筋肉をストレッチする動画も合わせて行うと指・手首・前腕部分の筋肉の痛み・張りが変わってきます。
どちらのストレッチも、痛気持ちいい程度で行いましょう。ズキズキ痛い・電気が走るようにピリピリ痛い場合は無理しないようにしましょう。伸びている痛み・突っ張る痛みは、ゆっくりと伸ばしてあげると楽になる場合がありますので少し続けてみてください。
これらのストレッチは、基本的なストレッチですが症状や筋肉の張り方などにより効果が見られない場合もあります。そのような場合は、理学療法士など身体の動かし方を理解している専門家にご相談することをおすすめします。
ピアノ演奏時に感じる親指・小指の痛みの原因と対処法について解説しました。和音を打鍵する機会が多い曲にて負担がかかりやすいことをご紹介しました。
ピアノ演奏自体が日常生活よりも指の動きを多用しているため疲労しやすいことも原因の一つです。1日2時間の練習でも脳と手には相当な疲労が溜まっています。
疲労とともに姿勢の崩れや演奏環境がうまく整っていないことで負担が積み重なり親指・小指への負担が増えるということがわかっていただけたかと思います。
整体サロンハルモニアでは、演奏姿勢や指の使い方から不調部位を探し出し、演奏中の痛みが出ない身体へ改善させるように施術・ストレッチ・ボディワークなどでアプローチしていきます。
痛みが続いて演奏がうまく行かないとつらい気持ちになる前に、ご相談ください。
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